年末調整の季節がやってきています。年末調整とは、会社があなたの所得税と住民税の確定申告を代わりにやってくれるシステムだと、以前のコラムでお伝えしました。また、今年から提出書類が一部変わっています。こちらのコラムをご覧ください。今年から変わるものは提出書類だけではありません。計算に使う金額も変わっています。こちらのコラムをご覧ください。また、今年は休業手当の支払いがあって、いつもより1年間のお給料が減っていると、戻ってくる所得税の額もいつもより違っているかもしれません。こちらのコラムに書いています。
今回は、年末調整が合っているかどうか?を確認するための所得控除の金額の確認方法をお伝えします。
「容子先生、所得控除の金額の確認は、どうやってすればいいですか?」
「まず、源泉徴収票の給与所得控除後の金額を見てみましょう」
(国税庁ホームページより)
「はい」
「給与所得控除とは、会社員の経費です。自分で事業をしている人とちがって、会社員はお給料をもらうためにかかった経費を計算はしませんよね?」
「はい、したことはありません」
「会社員の経費は、このくらいの給料ならこのくらいの経費、と決められています」
「そうなんですか?」
「そうなんです。会社員の経費を給与所得控除というんですね」
(国税庁 タックスアンサーより)
「給与所得控除後の金額、とは給与や賞与の年間の合計額から給与所得控除額、つまり経費を引いた金額です。この金額を所得といいます。ここまでは大丈夫ですか?」
「はい、容子先生」
「所得からさらに引くことができる金額があります。それが所得控除です」
「所得から引くことができるから所得控除なんですね」
「そうです」
「容子先生、所得控除って、生命保険とかの控除ですか?」
「そうですね。所得控除には人の控除とモノの控除があります」
「人の控除とモノの控除?」
「1つずつ説明しますね」
人の控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
「配偶者控除とか扶養控除は、聞いたことがあります。でも私は独身だから、基礎控除だけなんですね?」
「そうですね。配偶者(夫もしくは妻)で収入が低い人がいたり、家族で収入が低くて扶養する人がいる場合には、所得金額から引くことができます」
「いいなあ・・・」
「それだけ生活費もかかっていますよ」
「それもそうですね。障害者控除は自分が障害者の場合ですか?」
「自分だけではなく、配偶者や扶養している人が該当すれば対象になりますね」
「寡婦控除?って何ですか?ひとり親控除は、一人で子供を育てている人ですよね?」
「そうですね。寡婦控除は、女性だけが対象です。ひとり親控除の対象とならない人で、例えば夫が亡くなった後結婚せず、所得が500万円以下の人などですね」
「私は独身だから・・・対象じゃないですよね」
「そうですね」
「じゃあ、基礎控除だけ、と。容子先生、次はモノの控除ですね?」
モノの控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
「モノの控除は、生命保険や地震保険、社会保険などを払ったときに控除されるものですね。社会保険は給与から引かれているから払っているとして、その他は・・・」
「えっ、容子先生、給与から引かれている社会保険も対象になるんですか?」
「もちろんですよ」
「知らなかった・・・」
「自分では書類に書きませんからね」
「ですね」
「それで、ご自分で生命保険や地震保険は?」
「入っていません!」
「そ、そうですか、それならお給料や賞与から引かれている社会保険料だけですね」
「社会保険って、健康保険と厚生年金ですか?」
「雇用保険もです」
「あっ、そうなんですね」
「源泉徴収票の社会保険料等の金額に書かれているのが、お給料と賞与から引かれた社会保険料の金額ですね。その他に自分で払っている国民健康保険料や国民年金があればプラスされます」
「生命保険料と地震保険料の欄には何も書かれていません」
「何も入っていませんからね」
「そうか、そうですね。あっ、容子先生、基礎控除の額に480,000円と書かれています」
「はい、それがあなた自身の基礎控除額ですね。あなたの場合は、社会保険料等の金額と基礎控除額をプラスした金額が所得控除の額の合計額ですね。そして、所得金額から人の控除額とモノの控除額を差し引いた金額から所得税の金額を計算するんですよ。」
「ううーんん、なかなか手間がかかるものなんですね」
「そうですね」
「でもなんとなくわかりました、ありがとうございました、容子先生!」
「どういたしまして」
「ところで容子先生、これは年末調整ではできないと聞いたんですが?」
「ああ、ふるさと納税ですね。それはご自身で確定申告しないと・・・うん?」
「はい?」
「いえ、ちょっと確認したことがあったんですが、それは次回で解説と一緒にしましょう」
「はい」
今日のポイント
- 給与所得控除とは、会社員の経費のこと
- 所得控除は、人の控除とモノの控除がある