あなたが働きたい、働けるのに、会社がお休みで働けない、お給料は減ってしまうの?そんなときに会社からもらえるのが休業手当です。こちらのコラムにも書いています。休業手当は、平均賃金の6割以上となっています。労働基準法という法律でそう決まっているんですね。では平均賃金=お給料、だと思いますか?
「容子先生、こんにちは。今日もビデオ会議でよろしくお願いします」
「こんにちは、お元気ですか?」
「はい、まあまあです。会社には週2日しか行ってないので、運動不足が心配です」
「運動不足ですね。ストレッチとか散歩で身体は動かした方がいいでしょうね。あと、日光には毎日当たったほうがよいみたいですよ。私も朝早くに散歩したりしています」
「朝早くですか。朝起きるのは苦手なんですよね。でも、週5で会社に行くようになったときにつらかったらいけないので、なるべく毎日同じ時間に起きるようにしています」
「それは素晴らしいですね!生活習慣を変えないことも体調を維持するためには大切なことですからね」
「はい、なるべくそうしてみます。ところで容子先生、質問があるのですが」「はい、何でしょう?」
「先週お給料日で、給料明細が郵送されてきたんです。会社がお休みの日の分もお給料が出てるんですが、これ、休業手当っていうですか?明細にそう書いてあります」
「そうですね、休業手当ですね。法律で決まっています。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間 中当該労働者に、その平均賃金の 100 分の 60 以上の手当を支払わなければならない。
(労働基準法26条)
このように決まっているんです」
「はあ・・・ええと、お給料の6割が出てると考えていいんでしょうか?」
「お給料の6割じゃないですね」
「えっ?」
「平均賃金の6割なので、実際にはお給料の4割くらいですかね」
「ええっ?どうしてですか?6割じゃないんですか?」
「休業手当は平均賃金の6割以上、なんですね。お給料の6割以上、ではないんです」
「平均賃金とお給料は一緒じゃないんですか?」
「平均賃金とお給料はちがいます」
例えば、
- お給料は基本給20万円、通勤手当1万円の合計21万円
- 1月、2月、3月がすべてこの金額
- 働いた日数は、1月は21日、2月は19日、3月は20日とします。
- 他の手当や残業はない
休業手当を計算してみましょう。休業手当の計算は、
- (原則)過去3ヶ月のお給料を、過去3ヶ月の総日数で割った金額
- (最低保障)過去3ヶ月のお給料を、過去3ヶ月の働いた日数の合計で割った金額×60%
このどちらか多い方の金額になります。計算してみますね。
- 過去3ヶ月のお給料 21万円+21万円+21万円=63万円
- 過去3ヶ月の総数 31日+29日+31日=91日
- 働いた日数の合計 21日+19日+20日=60日
- 原則だと、63万円÷91日=6,923.07…円
- 最低保障だと、63万円÷60日×60%=6,300円
原則の方が金額が多いですよね。6,923.07…円を6割にすると、6,923.07…円×60%=4,153.84・・・・円、切り上げて4,154円とします。これが一日分の金額です。
「休業手当の一日分が4,154円でになるんですね」
「そうですね。働くはずだったのに休んだ日数分もらえます」
「働くはずだったのに休んだ日・・・つまり平日?」
「そうですね、いつも通り働いていれば会社で働くはずの日です。1ヶ月だと週5日働くのなら、20日くらいですね」
「20日だとしたら、休業手当は・・・4,154円×20日=83,080円ですね」
「そうですね、それでは、お給料の6割と比べてみましょう。お給料の6割は?」
「21万円×60%=126,000円。あれっ?全然ちがう!」
- 休業手当(20日分)83,080円
- お給料の6割 126,000円
「働く日数にもよりますが、休業手当はお給料の4割以下ですね。しかも社会保険料や所得税、住民税は引かれます」
「ええー、知らなかった」
「そうですよ、ただし、これは最低保障なので、会社によっては、もっと多くを払う場合もありますね。お給料はそのまま、というところもあるようです」
「ありがとうございます!ところで容子先生」
「はい」
「私のお給料にある休業手当は6割なんでしょうか?」
「・・・計算してみましょうか」
「はい、よろしくお願いします!」
今日のポイント
- 休業手当は、お給料の6割ではありません
- 休業手当は平均賃金の6割ですが、最低保障の金額なので、会社によってはもっと多いところもあります