年末調整の季節がやってきています。年末調整とは、会社があなたの所得税と住民税の確定申告を代わりにやってくれるシステムだと、以前のコラムでお伝えしました。また、今年から提出書類が一部変わっています。こちらのコラムをご覧ください。
今回は、年末調整の計算方法が変わる、です。どう変わるのでしょうか?
「容子先生、年末調整の書類は前回チェックしてもらったんですが、計算方法が変わるって本当ですか?」
「はい、正確には、計算に使う金額が変わります」
「計算に使う金額?」
「はい、給与所得控除が10万円少なくなって、基礎控除が10万円多くなっています」
「は?は?」
「説明しますね」
年末調整は、1月から12月の給料や賞与から引かれていた所得税の精算をする手続です。
- 1月から12月の給料や賞与を合計する
- 1月から12月の給料や賞与から引かれている所得税を合計する
- 1月から12月の給料や賞与の合計から給与所得控除を引く
- さらに所得控除を引く(所得控除とは、社会保険料控除・小規模共済掛金控除・生命保険料控除・損害保険料控除・配偶者控除・扶養控除・基礎控除のことです)
ここまでの計算で、課税総所得金額という、所得税の計算の元になる金額になります。
- 課税総所得金額から1年間に払うべき所得税額を計算する
- 1月から12月の給料や賞与から引かれている所得税の合計額と1年間に払うべき所得税額を比較する
払うべき所得税額が所得税の合計額よりも多ければ、12月の給与か賞与で追加で引かれます。払うべき所得税額が所得税の合計額よりも少なければ、12月の給与か賞与で返金されます。
「これが年末調整の手続の流れですね。変わるのは給与所得控除と基礎控除です。給与所得控除が10万円減って、基礎控除が10万円増えます」
「でも容子先生、給与所得控除と基礎控除って、同じところで計算するんですよね?給与所得控除が10万円減って、基礎控除が10万円増えれば、結果同じになりませんか?」
「いい質問ですね。そう、ほとんどの人は同じなんです。ただ、高額所得者と言われる、所得金額が2,400万円を超える人は、今までは基礎控除が38万円だったのが、32万円になったり16万円になったり、0円になったりするので、払うべき所得税額が多くなりますね」
「私には関係ないから大丈夫です!容子先生!」
「そ、そうですね、ほとんどの人にはあまり関係ありませんね。ただ、計算方法が変わるので、まちがいがないようにしなければなりません。特に今年は、緊急事態宣言で会社がお休みの時期もありましたから、いつもとお給料と賞与の合計額が変わっている可能性が高いですね。年末調整の結果が出たら、自分でも確認してみましょうね」
「えっと、容子先生、確認って、どこを見たらいいんでしょうか・・・?」
「おっと・・・それでは、次回は確認するところをお伝えしましょう」
「お願いします!」
今日のポイント
- 年末調整での計算に使う給与所得控除と基礎控除が変わります
- 今年は緊急事態宣言でお給料に変更ありでは?計算結果をチェックしましょう