年末調整の季節がやってきています。年末調整とは、会社があなたの所得税と住民税の確定申告を代わりにやってくれるシステムだと、以前のコラムでお伝えしました。また、今年から提出書類が一部変わっています。こちらのコラムをご覧ください。今年から変わるものは提出書類だけではありません。計算に使う金額も変わっています。こちらのコラムをご覧ください。
今回は、計算結果のチェックです。今年は、緊急事態宣言の影響もあって、もらうお給料の金額が変わった人もいるのではありませんか?年末調整の結果がいつもとはちがう?そう思ったあなたに、年末調整後にチェックするべき点をお伝えしましょう。
「容子先生、年末調整の計算結果のチェックですが、どこに注目ですか?」
「そうですね、年末調整は、1年間に払うべき所得税の金額を計算して、お給料や賞与から引かれていた所得税との差額との調整をすること、ということは大丈夫ですか?」
「はい」
「では、年末調整が終わったら受け取る源泉徴収票で確認します」
「源泉徴収票の源泉徴収税額というところを見てみましょう。上の方にある、あなたのお名前の下、右端ですね」
「源泉徴収税額ですね、はい、見つかりました」
「源泉徴収税額の金額が、あなたが1年間に払うべき所得税の金額です」
「あれ?容子先生、質問です!」
「はい、なんでしょう?」
「お給料は変わっていないのに、昨年より源泉徴収税額の金額が減っています。税金が安くなったんですか?」
「おっ、いい質問ですね、それではもう一つ確認してみましょう」
「はい、どこでしょう?」
「同じ行の左側、支払金額を昨年と比べてみてください」
「支払金額・・・あれ?ここも減ってる!お給料は変わっていないのに?」
「緊急事態宣言中に休業手当がありませんでしたか?」
「ありました!4月と5月は休業手当でした」
「休業手当はお給料として計算されますから、お給料の代わりに休業手当をもらった期間があれば、その分昨年よりも少なくなるはずですね」
「そっか・・・休業手当はお給料なんですね?」
「そうです、休業手当は給料です。所得税がかかります」
例えば、お給料が月20万円の人が、休業手当を2ヶ月分、10万円受け取っていたとします。
- 毎年20万円もらっていれば年間240万円の収入
- 休業手当を2ヶ月分、10万円受け取った年は、年間220万円の収入
です。
独身、生命保険や地震保険には加入しておらず、扶養する人もいない場合は、
- 年間240万円の収入に対する所得税は52,000円
- 年間220万円の収入に対する所得税は44,900円
「え、20万円収入がちがうと、7,000円以上税金がちがうんですか?」
「そうですね。収入が少なくなれば、払う所得税も少なくなります。毎月のお給料から引かれる所得税も少なくなりますから、12月のお給料で戻ってくる所得税も少なくなっているかもしれませんね」
「なるほど・・・他にチェックするところはありますか?」
「そうですね、所得控除の額の合計額がまちがっていなければ大丈夫でしょう」
「えっと、容子先生、お願いが」
「はい?」
「所得控除の額の合計額がまちがってないかがわかりません。教えてください」
「はい、では次で」
今日のポイント
- お給料の代わりに休業手当が支払われた場合には、今年の収入が少なくなり、所得税額も少なくなります
- お給料の代わりに休業手当が支払われた場合は、昨年とお給料が変わらなくても所得税の還付額は少なくなるでしょう