年末調整とは、会社があなたの所得税と住民税の確定申告を代わりにやってくれるシステム、と前回のコラムでお伝えしました。
今回は、年末調整のときに提出する書類についてお伝えいたします。今年は、昨年は提出していない書類がありますので、その書類を重点的に説明しますね。
「容子先生、これが年末調整で提出しないといけない書類だと渡されました」
「はい、3枚、ですね」
「これとこれは去年も見たんですけど、これは初めてみます」
「去年見たこれとこれとは、扶養控除等(異動)申告書と保険料控除申告書、初めて見るこれは、基礎控除申告書ですね」
「そうです、これは何ですか?」
「説明しますね」
1つ目の書類 令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(国税庁ホームページより)
今年は令和2年。いつも年末調整には、翌年の分を渡されますよね。これは、翌年1月のお給料から引かれる源泉所得税の計算のためです。
お給料から引かれる源泉所得税は扶養家族の人数によって変わります。扶養家族が増えれば源泉所得税は少なくなり、扶養家族が減れば源泉所得税は多くなります。
年末調整の計算には、昨年の年末調整時に提出した令和2年分の申告書を使います。今年の1月から12月までに扶養家族の人数が変わった場合には、年末調整終了までに必ず伝えましょう。
2つ目の書類 令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書
- 生命保険や地震保険、個人年金に加入して保険料をを払っているとき
- 国民健康保険や国民年金を自分で支払ったとき
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払ったとき
には、控除証明書をつけて提出しましょう。控除証明書は、金額の確認に必要ですから、必ず提出しましょうね。もし失くしてしまった場合には、保険会社等に依頼して送ってもらいましょう。
3つ目の書類
令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
これが、今年新しくなった書類です。
「そうそう、これです!容子先生、この基礎控除申告書?って何ですか?」
「この書類には、3つのことを書くんですが、人によっては、全部書かなくてもいいかもしれませんよ」
「私はどうなんでしょう?」
「どうでしょうね。1つずつ確認していきましょう」
「はい、お願いします」
「まず、1つ目。給与所得者の配偶者控除等申告書です。これは、配偶者(夫もしくは妻)がいる人が対象です。自分の所得と配偶者の所得によって配偶者控除、配偶者特別控除の金額を判定するんですね」
「配偶者がいなければ何も書く必要はないんですか?」
「はい、書かなくても大丈夫です」
「じゃあ私は書かなくていい、と・・・白紙でいいんですよね?」
「そうですね。次に、給与所得者の基礎控除申告書です」
「はい」
「これは、必ず書いてください」
「書くんですか?」
「そうですね、給与所得のところは、年間のお給料の予想で大丈夫です。これは、所得900万円まで、つまり収入1000万円以下の人なら基礎控除が48万円で、1000万円を超えている人の場合変わってくるかどうかの判定をするところなので・・・」
「絶対ちがいます!」
「そ、そうですか、それなら判定は(A)で、基礎控除は48万円です」
「あれ?昨年は38万円だった気がしますが」
「よくおぼえていますね、今年から変わったんですよ」
「えっ、じゃあ、控除が増えるということは、税金が減る?」
「そうとも限りません。年末調整で税金を計算するときに使う給与所得控除はその分下がっていますから」
「ええ?そうなんですね?じゃあ変わらないかな・・・?」
「実際に計算してみないとわかりませんけどね」
「じゃあ、所得金額調整控除申告書は?書かないといけませんか?」
「はい、では3つ目、所得金額調整控除申告書は、給与収入が850万円を超える人が対象で・・・」
「じゃあ私は関係ないです!」
「は、はい、そうですか。念のために説明しておきますと、給与収入が850万円を超える人で、障害者や23歳未満の扶養親族がいる人が提出します。高額所得者の税金を少し安くする効果がありますね」
「じゃあ、私の書くところは、基礎控除申告書だけですね。容子先生、書いたらチェックしてもらえますか?」
「もちろんですよ」
今日のポイント
- 年末調整の書類が一部変わります
- 基礎控除申告書は必ず書きましょう