社会保険料の年度始めは10月です。昨年10月のコラムで書きました。
お給料から引かれる社会保険料は、4月から6月までのお給料を平均して、9月から8月までの金額が決まります。原則1年間はそのままの金額です。
「容子先生、お久しぶりです!会社から対面での打ち合わせはダメと言われているのでオンラインでよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします。声は聞こえていますか?」
「大丈夫です」
「今日はご質問があるとか?」
「そうなんです。私の会社は3月の後半から4月がずっとお休みで、5月はたまに自宅で仕事していました」
「6月からは出社してるんですか?」
「そうなんですけど・・・出社は月曜日と金曜日で、後は自宅で仕事です」
「仕事はしてるんですよね」
「はい。それで質問なんですけど、社会保険料のことなんです」
「はい」
「社会保険料は、4月と5月と6月のお給料を平均して、9月から変わるんですよね?」
「そうですよ」
「でも、4月と5月にもらったお給料はすごく低かったんです。ええと、休業手当って書いてあります」
「そうですね。会社が会社の都合で社員をお休みさせるときには、休業手当を出すことになっています」(以前のコラムで書いています)
「まあ、お休みしていたのにお給料をもらえるというのはうれしかったんですけど、社会保険料が気になったんです。4月と5月のお給料が少なかったから、4月と5月と6月のお給料を平均すると前に比べてすごく金額が低くなると思うんです。じゃあ、社会保険料も下がるんですか?」
「それは、7月1日の会社の状態で決まりますね」
「7月1日の会社の状態?」
「7月1日のときに、会社はお休みの状態でした?」
「いいえ、7月には会社は一部テレワークですけど、会社はお休みではないです」
「では、こうなります」
7月1日現在、会社がお休みしていないとき
4月、5月、6月に支払われた給料のうち、休業手当を含まない月のみを平均して、社会保険料の計算の元になる標準報酬額を決定します。例えば、
- 4月のお給料 8万円(休業手当のみ)
- 5月のお給料 12万円(休業手当+お給料)
- 6月のお給料 21万円(お給料)
4月と5月は休業手当が含まれているので、休業手当を含まない月は6月のみとなります。21万円÷1ヶ月=21万円が標準報酬月額です。
21万円の標準報酬月額は22万円ですから、22万円の標準報酬月額に対応した社会保険料が9月から来年8月までお給料から引かれます。
(日本年金機構HPより)
「そうなんですね。じゃあ容子先生、7月1日のときにまだ休業している会社はどうなるんですか?」
「7月1日のときに会社がまだ休業している場合は、こうなります」
7月1日現在、会社がまだお休みしているとき
4月、5月、6月に支払われた給料のうち、休業手当を含む月も含めて平均して、社会保険料の計算の元になる標準報酬額を決定する。
- 4月のお給料 8万円(休業手当のみ)
- 5月のお給料 9万円(休業手当のみ)
- 6月のお給料 11万円(休業手当+お給料)
(8万円+9万円+11万円)÷3ヶ月=93,333円が標準報酬月額になります。93,333円の標準報酬月額は98,000円ですから、98,000円の標準報酬月額に対応した社会保険料が9月から来年8月までお給料から引かれます。
ただし、7月1日以降に会社がお休みでなくなり、お給料のみが払われる場合になったときには、お給料の金額によっては、お給料のみが払われるようになった4ヶ月目から社会保険料が変更になることもあります。→以前のコラム『10月以外で社会保険料が変わるとき』に書きました。
「かなりちがいますね」
「そうですね、社会保険料の決定をするのは7月1日現在の会社にいる社員ですから、基準日が7月1日なんですね」
「じゃあ私の場合は特に変わらないのかな?」
「お給料が変わらなければ変わらないでしょうね。10月のお給料明細を確認しておきましょうね」
「はい、わかりました。ありがとうございます!」
今年は特例として、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定があります。休業によりお給料が大きく下がった場合に、標準報酬月額を翌月から改定可能です。これは会社からの届出になります。
(日本年金機構HPより)
今日のポイント
- 新型コロナウイルス感染拡大により会社がお休みになってお給料の代わりに休業手当を受け取った場合には、9月からの社会保険料に影響することもあります
- 7月1日現在で会社が休業中か、仕事を開始しているかによって変わります