2,000万円問題で、iDeCoやNISAへの投資への興味が高まっていることは、以前のコラムその1とその2で書いています。そして、投資に大きな関心を寄せる人の興味は、iDeCoだけでなく、NISAにも向いています。ほら、ここにも。
「容子先生、NISAについても教えてください!」
「おお、すごい勢いですね」
「iDeCoが60歳からしか受け取れないとか、手数料がかかるとか、あと、えっと・・・」
「あと、何でした?」
「あっ、投資して利益が出たら税金払わなくていい!」
「利益分の税金ですね。他には?」
「何でしたっけ?」
「掛金の一部、税金が安くなります」
「あっ、そうでした。たくさん特徴がありますね」
「よくできました!では、次はNISAですね?」
「はい!お願いします!」
「NISAもiDeCo と同じ特別な口座で、色々な特徴があります。まず、iDeCoと同じ特徴から。
- 一つの金融機関でしか口座を作ることができない(変更は可能)
- NISA口座で投資をして利益が出たら20.315%の税金がかからない
これは iDeCoと同じ特徴 ですね」
「iDeCoとちがう特徴もあるんですか?」
「ありますよ、 iDeCoとちがう特徴はこうです。
- 60歳にならなくても、いつでも受け取れる(口座から引き出せる)
- 口座を作っても、手数料はかからない
- 掛金(NISA口座に入れたお金)は、税金が安くならない
ですね」
「いつでも受け取れる、のはいいですよね」
「そうですね、iDeCoは60歳まで受け取れませんから、60歳まで使わない資金のためにはiDeCoですね」
「60歳までに使う資金ならNISAですか?」
「その方が使い勝手がいいですね」
ここで今まで出てこなかった iDeCoの注意点です!
iDeCo とNISAのちがいをメモしていたご相談者さん、NISAのパンフレットを見て何か気づいたようです。
「容子先生、NISAって5年しか使えないんですか?ここに書いてあります」
「ん?ああ、非課税期間5年、ですね。5年、というのは、 こういうことです。
- NISA口座を使って購入した投資商品を運用して出た利益は、5年間税金がかからない」
「ん?じゃあ、5年過ぎたら?」
「5年過ぎたら、その時点で次の3つから選びます。
- 次の年の非課税枠に移す(ロールオーバーといいます)
- NISAの口座から課税口座に移す
- 売却する」
「ロールオーバー?容子先生、ロールオーバーするとどうなるんですか?」
「 次の年の非課税枠が小さくなります。NISA口座には非課税枠、つまり税金がかからない金額の枠があります。非課税枠は1年につき120万円」
「ん?容子先生、つまり?」
「つまり、ロールオーバーしたときの投資商品の金額が50万円なら、次の年にNISA口座で買える投資商品は70万円までになります。120万円の枠が小さくなるんですね 」
「あっ、次の年の枠をとっちゃうんですね」
「そうなんです」
「容子先生、課税口座に移したら、利益に税金がかかる・・・?」
「そうなりますね。でも、損が出たら?」
「あっ、確定申告で取り戻せるかも!」
「正解です!素晴らしい!」
「ありがとうございます!でも容子先生、 でも毎年120万円の枠を目いっぱい使う人なんていますか?」
「どうでしょうね、枠を目いっぱい使っている人は少ないかもしれませんよね」
「私は買わないかな・・・」
「ふふ、そうですか?じゃああまり気にする必要はないかもしれませんね。あ、そうだ、ちょっと注意点があります。
NISAを使えるのは2023年までなんです」(2019年11月現在)
「はい?」
「NISA口座で投資できるのは2023年まで、そして非課税枠は2027年までです」
「えっ?それじゃ、その後は?」
「まだわからないんですよね。ロールオーバーは使えなくなりますから課税口座に移すか、売却するか・・・もしかしたら制度が変わるかもしれませんけど、今のところは2023年までしかNISA口座で投資できないんです」
「あっ、容子先生、容子先生、このつみたてNISAは?つみたてNISAにはロールオーバー?でしたっけ?できないんですか?」
「つみたてNISAは、NISAとはちがう枠で動いてますからね。今はNISA口座とつみたてNISA口座は同時に動かせないですしね」
「そうなんですね、できたらいいのに・・・」
「そうですよね。でも、これからは投資や資産運用がもっと大切になるでしょうから、まったくなくなるということはないと私は思っています」
「ですよね」
「あ、つみたてNISAについて話が出ましたから、NISAと比べてみますね。
- 非課税枠はNISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円
- 投資した金額に税金がかからないのはNISAは2027年まで、つみたてNISAは2056年まで。
- NISAはロールオーバー(次の年に非課税枠を移す)あり、つみたてNISAはロールオーバーなし」
「はあー、容子先生、投資ってむずかしいんですね。なかなかスタートラインに立てない」
「初心者がいきなり上級者コースには行けませんよ。まずは無理のない金額からやってみましょう」
「そうします!」
NISAとつみたてNISAについては、金融庁のHPに詳しく載っています。
(金融庁HPより)
今日のポイント
- iDeCoは受取が60歳からですが、NISA、つみたてNISAはいつでも受け取れます
- NISAとつみたてNISAは、似ているようで違う制度。同時には使えないので、自分に合っている方を選びましょう。