そろそろ7月のお給料日が近づいてきましたね。7月にはボーナスを出す会社もありますが、あなたの会社はどうでしょうか?給料とちがって、ボーナスは必ずもらえるものではないですから、いつもと変わらないかもしれませんね。
今回はお給料から引かれているもののうち、雇用保険についてお伝えします。
毎月のお給料やボーナスから引かれている雇用保険。これが引かれているのは何のためか知っていますか?
給与明細の内容について知りたい、というご相談者の方とこんな会話がありました。
「雇用保険って、退職した後、仕事を探すときにお金をもらうためのものですよね?」
「そのためでもありますね」
「このお金を積み立てて、退職したときにもらえるということですか?でも、それならちょっと金額が少ないような気がします。毎月1,000円も払ってませんよ」
「お金を積み立てているというわけではないんですよ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうなんです。退職して、仕事を探しているとき、雇用保険からもらえるお金のことを基本手当といいます。失業手当といった方がわかりやすいですか?」
「失業手当なら聞いたことあります!」
「失業手当は、次の3つでもらえる総額が決まるんです」
- 雇用保険に入っていた年数
- 退職したときのお給料の退職前1年の平均
- 退職したときの年齢
「ですから、今、あなたのお給料から引かれている雇用保険は、失業手当をもらうときのために雇用保険に入っていた年数を積み立てていると考えてください」
「お金を積み立てているのではなく、年数を積み立てているんですね。さっきの3つがちがうと、もらえる総額がそんなに違うんですか?」
「ちょっと例を出してみますね」
- 退職時32歳、雇用保険を払った年数9年、退職した時の給料の過去1年の平均が25万円の場合、総額約50万円(もらえる日数90日・約3ヶ月)
- 退職時47歳、雇用保険を払った年数24年、退職した時の給料の過去1年の平均が35万円の場合、総額91万円(もらえる日数150日・約5ヶ月)
※自分から退職すると言ったとき’(自己都合退職)の金額です。
「けっこうちがいがありますね。総額も、もらえる日数も」
「もらえる日数というのは最大です。この日数分もらい終えるまでに就職が決まったらそこで終了です」
「もらわなかった金額は、次にもらうときにプラスされるんですか?」
「残念ながら、次にもらうときまで持ち越しはできませんね」
「そうなんですか」
「雇用保険は助け合いの制度ですから、もらわなかった金額は、そのとき必要な人にまわされることになります」
「そうなんですか・・・そういえば、今お給料から引かれている雇用保険は総額を増やすために積み立てているということでしたけれども、退職するまでは積み立てているだけですか?」
「いえ、実は、雇用保険には働きながら受け取れるお金があるんですよ」
「えっ?教えてください!」
「知りたいですか?」
「はい!」
雇用保険の働きながら受け取れるお金は、教育訓練給付といいます。
雇用保険からもらえるお金を給付といいますが、給付は20個あります。
20個のうち、退職して仕事を探しているときにもらえるお金が16個、働きながらもらえるお金が4個。4個のうちの1つが教育訓練給付です。
一定の資格を取るために学校などへ行って勉強した場合、費用がかかりますよね。かかった費用の2割がもらえます。(金額の制限はあります)
例えば、簿記の資格をとるために学校へ通って、10万円かかったとします。授業が終わった後、ハローワークへ申請すると、2万円が戻ってきます。
「えー、そんな制度があるんですね。いつでも使えるんですか?」
「ああ、残念ながら、いつでもというのはは無理なんですね」
「え、残念・・・」
「最初に使えるのは雇用保険がお給料から引かれ始めてから2年後から、その後は3年ごとにしか使えません」
「毎年使えればいいのに・・・」
「そうですね。でも、3年ごとに使えますから、教育訓練給付を使うのであれば、費用が多くかかるものに使うといいですね」
「わかりました!今度資格試験にチャレンジしようと思っているので、使おうと思います!」
「資格試験にチャレンジ!がんばってくださいね。そうそう、受ける講座が教育訓練給付の対象になっているかも確認しておいてくださいね」
雇用保険は、会社員で、正社員で働いている方ならほとんどの人が払っています。公務員などは制度がなかったり、パート・アルバイトの人は入っていない場合がありますので、お給料から雇用保険が引かれているかどうかは確認しておいてくださいね。
雇用保険は、退職したときのためだけではなく、働きながらでも使える、ということを知っているだけでも十分使いこなせていますよ。
今日のポイント
- 雇用保険がお給料から引かれているのは年数の積立のため。失業手当は積立年数が多ければ金額が増えます。(上限はあります)
- 働いている間でも使える教育訓練給付という制度もあります。