前回は、傷病手当金の変更点についてお伝えしました。最大1年6ヶ月から、1年6ヶ月分もらえるようになりました。今回は、傷病手当金をどう使うか?注意点などについてお伝えします。
傷病手当金は請求ベースです。申請しないともらえません。会社を休んでお給料がなければ自動的に入金されるものではありません。
申請書も決まった書式があります。
全国健康保険協会ホームページより
全国健康保険協会 ホームページより
ケガが一人きりで起きたものではなく、他の人が関わっている場合には、プラスで届が必要です。
全国健康保険協会 ホームページより
他の人が関わっているときは、他の人から損害賠償を受けられる可能性がありますので、調整をするためです。
請求書には、
- 会社からのお給料がない証明
- 医師の仕事ができない証明
が必要です。自分が書くだけでは完成しません。
医師の証明は、有料となることがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。お給料が1ヶ月ごとなので、請求書も1ヶ月ごとに出したいとは思いますが、そのたびにお金がかかってしまうと負担になることも考えられます。また、請求書を出してから入金までは2~3ヶ月かかることがありますので、その間の生活資金は必要でしょう。
傷病手当金を受けている間は会社からのお給料はありませんが、社会保険料、つまり健康保険、介護保険、厚生年金保険は加入中です。
加入中は社会保険料は払い続けなければなりません。
社会保険料はお給料の約20~25%を占めます。しかも、実際に年金事務所に支払うのは会社です。お給料がないので、社会保険料をお給料から引くことはできないため、あなたは別で会社に支払うことになります。ちょっと面倒ですよね?そこで、会社が代わりに傷病手当金を受け取り、社会保険料を引いた金額を振り込んでもらうという方法もあります。請求書の受取代理人に会社を指定します。会社からの振込になるため、会社と相談して決めましょう。
傷病手当金は、退職時に受け取り始めていれば、退職後も受け取ることができます。
請求書は退職前と同じですが、お給料がない証明は取れませんので、空欄で提出します。
退職後の失業手当や傷病手当と傷病手当金の調整に注意しましょう。
退職後にハローワークで失業手当の申請をすると、同じ傷病での傷病手当金の権利は消滅します。つまり、1年6ヶ月分受け取っていないままでも、傷病手当金はもらえなくなってしまいます。
失業手当は、原則は過去2年間に働いた日が11日以上ある日が12ヶ月あるときに受け取れます。傷病手当金を1年以上もらっている場合には、もらえないとあきらめてしまうこともあります。ただ、この場合は、過去4年間までさかのぼることができますので、退職した会社からは離職票をもらっておき、ハローワークで確認してみましょう。退職後もしばらく働けないようなら、失業手当の代わりに傷病手当というものもありますが、傷病手当と傷病手当金と同時に受け取ることはできませんので注意しましょう。
基本手当について 傷病手当についてを参照
ハローワークインターネットサービス より
※疾病又は負傷について他の法令により行われる類似の給付を受ける日については支給されませんと書いてありますが、他の法令により行われる類似の給付の一つが傷病手当金です。
今日のポイント
- 傷病手当金受取中も社会保険料は払う
- 受取方法の選択や退職後の手続など知っておくと便利