2020年が始まりました。
年末年始、いかがお過ごしでしたか?今日から仕事始めでしょうか。月曜日から仕事始めだとちょっと憂鬱になったりしませんか?
“木曜日からなら2日出社して2日休みなのに、今年は月曜日からだから5日出社かあ”・・・よくわかります。私も今日から仕事は本格始動ですから。長期休暇からの切り替えは、前々日からの早起き生活ですね。日常への切り替えを早めに、が一番だと思います。
さて、2020年最初の制度の使いこなし方は、確定申告です。確定申告とは、所得税と住民税の金額を確定する手続です。会社員は、会社がしてくれる年末調整という手続で、所得税と住民税の金額を確定することがほとんどなのですが、一部あなた自身で確定申告しないとできない手続があります。さて、あなたは確定申告した方がいいんでしょうか?それとも・・・?
「容子先生、年末調整は終わったんですが、確定申告でしかできない手続ってあるんですか?」
「ありますよ。色々ありますが、会社員がする手続なら、
- 年末調整をした会社以外の会社で働いていて、お給料をもらった
- 入院、手術などで医療費が多くかかった
- 台風などの災害で家に損害を受けた
- ふるさと納税をして、ワンストップ特例制度を使っていない
- お給料以外に、株式の配当や株式などを売ってお金を受け取った
- 2019年中に住宅ローンを組んでマイホームを買った
・・・ですね」
「へえー、色々あるんですね。確定申告をするといいことがあるんですよね?」
「いいこと・・・所得税と住民税が安くなる可能性がありますね」
「例えばどんな?」
「例えばですね。2019年中に入院や手術をして、医療費がいつもより多くかかったときですね。これです。
(国税庁 タックスアンサーより引用)
2019年1月から12月までに支払った医療費が10万円を超える(所得金額が200万円以下の場合は、所得金額の5%を超える)と、超えた金額の一部分、所得税と住民税が安くなります」
「私が支払った医療費ですか?」
「もし、健康保険や加入している医療保険から保険金をもらっていれば、その金額は差し引いてくださいね。支払った、というより、負担した医療費、といった方がわかりやすいでしょうか?」
「負担した金額、の方がわかりやすいです。医療費って、病院代だけですか?」
「病院代だけではないですよ。薬代や病院に行くための交通費や、保険がきかない治療も対象になりますから、病院代じゃないから、と決めつけないで、対象になるかどうか調べてみましょうね」
「領収書を確認してみます!で、容子先生、負担した医療費を確定申告するとどんなことが起きるんでしょう?」
「例えば、
- 1年間の医療費の支払金額 15万円
- 保険金でもらった金額 3万円
負担した金額は15万円-3万円=12万円です。申告すれば、12万円-10万円=2万円の一部分の所得税がお金で還付、つまりお金で戻ってきます」
「お金で戻ってくるんですね。えーと、住民税は?」
「住民税の計算の元になる金額から2万円を引いて計算されますので、申告しないよりも安くなる可能性はありますよね」
「あの、容子先生」
「はい、何でしょう?」
「先ほどから、安くなる可能性、という言葉がよく出てきますが、どういうことでしょう?」
「おっ、いい質問ですね」
「だって、気になるんです」
「例えば・・・年末調整の手続が終わった後にもらう源泉徴収票がありますよね?」
「はい、源泉徴収票はもらいました」
「源泉徴収票の源泉徴収税額の欄が0円になっていれば、所得税は還付されないんです」
「そうなんですか?じゃあ、確定申告してもムダ?」
「まったくムダにはならないかもしれませんよ。住民税の計算は所得税の計算とはちがいますから、所得税が0円でも、住民税が0円とは限らないんです。ですから、確定申告すれば、住民税を0円に近づけることができるかもしれないので、安くなる可能性、と言っているんですよ」
「そうなんですね・・・私は源泉徴収票の源泉徴収税額の欄は0円じゃないですが、0円の人もいるんですか?」
「いますよ。年末調整は、1年間お給料から引かれていた所得税の精算なんです。源泉徴収税額の欄が0円になっていれば、1年間お給料から引かれていた所得税は12月に精算して全額戻ってきています。そんなときには、源泉徴収税額の欄が0円になるんですね」
「そんな人は所得税の還付はない?」
「そうですね、全額戻ってきているので、それ以上は還付されない、つまり戻ってこないんですよ」
「源泉徴収税額の欄が0円よりも多ければ、その金額までは所得税が還付される可能性がある、ということですか?」
「その通りです!」
「なんとなく確定申告のしくみがわかってきました」
「わかってきましたか!それはよかった!」
「他にも確定申告すれば所得税や住民税が安くなる可能性のある手続はあるんですか?」
「それは次回で説明しましょう」
普段はめったに病院に行かない人でも、入院や手術などで医療費が多くかかることもあります。そんなときには、確定申告をすることで所得税や住民税が安くなる可能性があります。自動的に税金は安くなりませんので、注意してくださいね。
今日のポイント
- いつもより多く医療費がかかった年の翌年は、確定申告で所得税と住民税を安くできる可能性があります
- 源泉徴収票の「源泉徴収税額の欄」が0円なら、所得税は還付されませんが、住民税が安くなる可能性もあります