確定申告の時期ですね。今年も2020年に同様、4月15日まで期限が延期されています。会社員のあなたが確定申告をするのであれば、追加で税金を払うのではなく、税金を戻してもらう手続きでしょうから、早めに手続きをしたら早く戻ってきますよ。
私はお給料しか収入はないし、確定申告をする必要はない、そう思っているあなた、源泉徴収票は見直してみましたか?もしまちがいを発見したら・・・お金が戻ってくるかもしれませんよ。前回は、お給料の金額と扶養人数の確認まででした。今回は続きです。
(国税庁ホームページより)
「容子先生、お給料の明細と賞与の明細です。持ってきました」
「おっ、ありがとうございます」
「ええと、支給金額を合計すればいいですか?」
「ちょっと待ってください、通勤手当は毎月どのくらいですか?」
「通勤手当は、毎月8,230円です」
「通勤手当は公共交通機関を使っていて、月15万円までなら所得税はかかりませんから、通勤手当は引いて計算しましょう」
「はい」
「1月から12月のお給料から通勤手当を引いた金額と、賞与の支給金額です」
「はい、ちょっと待ってください」・・・・できました!2,531,600円です」
「源泉徴収票の支払金額と同じですね」
「あっ、本当ですね」
「では支払金額は間違いなし。次に源泉徴収票の社会保険料等の金額ですね」
「はい」
「お給料と賞与の健康保険料と介護保険料と厚生年金保険料と雇用保険料を全部足してください」
「は、はい、ちょっと待ってください」・・・・・430,380円です」
「源泉徴収票の金額は?」
「同じです」
源泉徴収票の支払金額
- 1月~12月のお給料の支給金額の合計-1月~12月の通勤手当の合計+1月~12月の賞与の支給金額の合計
源泉徴収票の社会保険料等の金額
- 1月~12月の健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料の合計額
「ここまでは大丈夫ですね、では次に生命保険料の控除の金額ですが、控除証明書は出しました?」
「はい、1枚だけ・・・毎月10,000円の保険を払っています」
「年間12万円ですね。いつ契約したのか覚えています?10年以上前か、それより後か」「就職したときですから、10年以上前です」
「だとすると、平成24年より前ですね、生命保険料の控除額は50,000円になっていますか?」
「はい」
「OKOK、では地震保険料は?」
「覚えています、ぴったり5,000円です」
「源泉徴収票の金額も?」
「5,000円ですね」
「マイホームをローンを組んで買ってもいないし」
「はい」
「では最後、源泉徴収税額が合っているか確認しておきましょう」
源泉徴収票の生命保険料の控除額
- 年末調整だけで計算される金額です。計算方法は少し複雑なので、ここでは平成24年より前に契約した生命保険料で、控除証明書に12万円と書いてあれば50,000円が控除額になる、とだけお伝えしておきますね。生命保険料控除額の計算は次回で!
源泉徴収票の地震保険料の控除額
- 年末調整だけで計算される金額です。地震保険料控除額の計算も次回でお伝えします。ここでは、1月~12月に払った地震保険料が5,000円なら、地震保険料控除額も5,000円です。
「容子先生、源泉徴収票の源泉徴収税額って、何ですか?」
「源泉徴収税額は、あなたが1年間に支払うべき所得税の金額です」
「お給料から支払ってますよ?」
「それは仮の金額なんですよ。年末調整で、きちんと精算されます。だから12月でいくらか戻ってきたりはしてませんか?」
「ああ、確か戻ってきてます!」
「では、あなたが1年間に支払うべき所得税の金額が正しいかどうかを見てみましょう」
「はい!」
源泉徴収票の給与所得控除後の金額から計算を開始します。=1,689,600円
ここから所得控除の額の合計額を引きます。所得控除の額の合計額は、次の額の合計額です。
社会保険料の控除額430,380円+生命保険料の控除額50,000円+地震保険料の控除額5,000円+扶養控除額(扶養はいないので、0円)+基礎控除額480,000円(本人の所得が2,400万円以下)=965,380円
「965,380円が、給与所得控除後の金額1,689,600円の右側に書いてありませんか?」
「書いてあります!そうか、この金額の合計だったんですね」
「そうですね」
給与所得控除後の金額から所得控除の額の合計額を引いた金額が、課税総所得金額、つまり税金の計算の元になります。
課税総所得金額=1,689,600円-965,380円=724,200円。
- 724,200円の1,000円未満を切り捨てます。→724,000円。
課税総所得金額724,000円に所得税の率をかけます。金額が大きければ大きいほど、率は大きくなります。
(国税庁ホームページより)
源泉徴収票の源泉徴収税額
- 724,000×5%×102.1%=36,960円。税金は100円未満を切り捨てます。→36,900円
「36,900円が源泉徴収税額の金額に?」
「書いてあります!」
「正しいですね」
「なあんだ、残念」
「いやいや、確定申告をしなくてすんだじゃないですか」
「あ、そうですね」
「これがもし間違っていれば、あなたが自分で確定申告をすることで、所得税を多く払いすぎることは避けられます。それに、所得税を多く払いすぎていれば、住民税も多く払うことになるんですよ」
「住民税にも!」
「そうです、5年間はさかのぼって計算できますから・・・」
「前の年とか前の前の年とかの分、持ってきます!容子先生、一緒に見てください!」
「はい・・・もう行っちゃった」
次回は、前の年の源泉徴収票を見ていたらまちがい発見!どうする?です。
今日のポイント
- 源泉徴収票は1年間の所得税の精算の計算用紙
- 計算方法がわかれば、支払いすぎていた!は防げる