資産運用を考えるとき、一番効率的な資産運用は?一番増える資産運用は?と考えてしまいがちです。でも、それよりも大切なことは、何のために、そしていつまで運用するのか?です
何のために資産運用するのか?いつまで資産運用するのか?これをまず考えてから資産運用の方法を考えていきましょう。と、以前のコラム①②でお伝えしました。
目的とゴール地点を考えたら、次はどのように運用していくか?です。でもその前にまた考えることが。準備するべき金額はいくら?
以前のコラム②で、老後資金を運用する!と決めたご相談者の方。私から60歳から100歳の40年間に必要なお金を考えてきてください、という宿題を出されました。その続きです。
「容子先生、宿題、考えてきました・・・」
「お、えらいえらい。よくがんばりましたね」
「今後40年間に必要なお金なんかふだん考えないから、大変でした・・・」
「おつかれさまでした。将来必要なお金はいくら?なんて考えないことが多いですから、大変な作業なんですよ」
「本当につかれちゃいました。で、この金額です」
「7,200万円」
「すごい金額でしょう?無理ですよ、貯めるなんて無理!私資産運用やめます!」
「まあまあ、落ち着いて。この金額は、使うお金の金額ですよね?」
「え?はい、そうです。毎月の生活費をだいたいで計算して、40年分です、だから無理・・・」
「泣かない泣かない、それで、収入は?」
「は?収入?」
「必要なお金ですよ、収入はないですか?支出だけ?65歳から年金がもらえますよね?」
「あっ、あー!忘れてた!」
「私の説明も悪かったですね、ごめんなさい。必要なお金は、収入から支出を引いた金額です。年金の金額は・・・ねんきん定期便はありますか?」
「ありますけど、この金額ですか?」
「35歳ですから、この金額じゃないですね。では、たぶんこれだけ計算をしてみましょう」
たぶんこれだけ計算とは、“たぶんこれだけ年金をもらえるんじゃないかなあ”というざっくりの金額を計算する方法です。ちなみにたぶんこれだけ計算という言葉は、私が作った言葉なので、私以外には通用しません。
50歳未満の人が受け取るねんきん定期便には、実際にもらえる金額の見込額はまだ書いていないので、このたぶんこれだけ計算を使います。
- ねんきん定期便の加入実績に応じた年金額 の金額
- 今から60歳までの年数×19,000円
- 今から60歳までの年数×今の年収×0.54%
この3つの合計額が、あなたの “たぶんこれだけ年金をもらえるんじゃないかなあ” 金額です。
「容子先生、計算してみました。135万円です」
「それを65歳から100歳まで35年間もらえるとするといくらになりますか?」
「135万円×35年で、4,725万円です」
「あと、会社から退職金ありませんか?会社で何か積立ててるとおっしゃってませんでしたっけ?」
「あっ、会社の退職金で毎月20,000円積み立ててます。これは入社してから積立ててますから、それとそれと、会社で社内預金もしてます!そっかそっか、これ、退職してから受け取れるんだった!」
「まあまあ、落ち着いて。では必要なお金を計算していきましょうね」
「はいっ」
「支出はもう計算してますから、収入ですよね。
- 年金が4,725万円
- 退職金の積立が900万円
- 社内預金が900万円
で、合計は6,525万円が収入予定ですね。で、これでかかる費用7,200万円を引くと?
6,525万円-7,200万円=マイナス675万円ですね。必要な金額が675万円と出ましたね」
「えっ?あれっ?」
「どうしました?」
「2,000万円いるはずじゃ?」
「え?どうしてですか?」
「えっ、だって、2,000万円いるって・・・」
「誰がそういいました?」
「えっと・・・いいです。2,000万円より少ないから・・・」
「少ないですね。よかった。まあ、他に趣味の費用とか色々考えて、1,000万円必要としてみましょうか」
「2,000万円じゃないんだ・・・」
「もしもし?」
一口に老後資金といっても、必要な金額は人それぞれです。老後資金に必ず2,000万円が必要というわけではありません。あなたに必要な金額をきちんと知っておきましょうね。
「容子先生、次にすることは?」
「おお、復活しましたね。毎月老後資金用に回せるお金はいくらくらいでしょう?」
「1万円くらい、ですね」
「じゃあ、これからこれから25年間で毎月1万円とすると、300万円ですね。これを1,000万円にするとなると、運用利回りは8%」
「そんな資産運用ができるものがありますか?」
「まあ、むずかしいですね」
「えー?」
「まあまあ、これを毎月2万円にすると、3%です」
「じゃあ、3%で」
「2万円にできます?」
「う、うーん・・・、あっ、容子先生、社内預金をやめれば資産運用に回せます!」
「いやいや、ちょっと待って!そんなことしたら、必要な金額が変わってしまいますよ!」
「あっ、そっか・・・じゃあ、どうしようかな」
「他に老後資金に回せる預金などがあるかどうかも確認して、自分がどのように資産運用していくか、マイルールを決めてから動きましょう」
「マイルール?」
「決め方は次回でお伝えしますね。今日はここまでにしましょう」
「わかりました。社内預金やめよかな・・・」
「まだ、解約しないでくださいね」
資産運用を始める日が近づいてきました。
- 資産運用の 目的
- いつまで資産運用するのか
- 資産運用して準備する必要金額
- 今、資産運用に使える金額
- 運用利回りをどうするか
ここまでやってきました。金額が具体的になってくると、間に合わない、できない、やっぱり無理!というマイナスの気持ちが強くなってきます。
でも他でもないあなた自身のこと、今のあなた自身に重すぎる負担もかけず、そして将来の自分の負担をなるべく軽くするために、一番いい資産運用方法を考えていきましょう。
次回は一番大切といってもいい、投資のマイルールを決める、です。