新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言。1ヶ月半ほど続いた緊急事態宣言中は、街から人が少なくなり、会社に出勤する人も少なくなりました。あなたもそうだったでしょうか?今でも出勤する日は少ないままですか?
会社に出社しなくても、仕事はテレワークで続ける、もしくは待機中として、自宅でいつでも仕事に対応できる状態にあったのであればお給料の対象になります。ですが、会社がお休みの日を多くして、お休みの日にお給料ではなく休業手当を受け取っていたらお給料はいつもより少なくなっているのではないでしょうか。
お給料からは毎月引かれているものがありますよね?
- 社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金保険)
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
雇用保険料と所得税はお給料の金額に連動します。お給料が少なくなれば雇用保険料と所得税は少なくなります。住民税は、昨年分を払っているので今のお給料が少なくなっても金額は変わりません。では社会保険料は?
「容子先生、お久しぶりです」
「お久しぶりです、お元気でしたか?」「はい、先週から出社も再開されて、週末はぐったりでした」
「長いお休みでしたものね。夏休みくらいの長さですか」
「あー、そのくらいになるんですね。そういえば2学期の最初は疲れてましたね」
「長期休暇、といっても待機する日もあったんですよね?」
「そうです。週2回打ち合わせとか、仕事がメールで指示されたり。慣れていないのでかえって疲れました」
「そうですね。でも、先週からは通常業務になりましたか?」
「そうなんです。通常業務にもまだ慣れません。あ、ところで容子先生、今日は気になることがあって、聞きたいことがあるんですが」
「はい、なんでしょう?」
「以前、社会保険料が変わるのは10月だとお聞きしました」
「はい、そうですね。こちらのコラムです」
「4月と5月と6月に払われたお給料の平均で社会保険料が決まると聞いたんですが、今年は4月と5月のお給料はいつもより少なかったんですが、その場合って、社会保険料も下がるんですか?」
「下がるかもしれないし、下がらないかもしれません」
原則として、社会保険料は、年に1回、10月に変わります。
7月に、4月、5月、6月に支払われたお給料を平均して標準報酬月額という社会保険料の計算の元になる金額を出します。4月のお給料から引かれている社会保険料は昨年10月に変わった社会保険料です。
今年の10月からは今年の7月に出した標準報酬月額から計算された社会保険料が引かれます。これを毎年繰り返すのが社会保険料ですね。
「ところが、今年、4月と5月のお給料が少ないのなら、4月、5月、6月のお給料を平均すると、平均額はいつもより少なくなります。平均額が少なくなると、10月からお給料から引かれる社会保険料も少なくなるんです」
「そうですね、でも、引かれる社会保険料が少なくなると、もらえる金額は多くなりますよね」
「もらえる金額は多くなります。でも、社会保険料が少なくなると、病気やけがで休んだときの傷病手当金や将来もらえる年金が少なくなってしまうデメリットもあります」
「いいことばかりじゃないんですね」
「そうなんです。今回お給料が少なくなったのは、あなたが自分の意思で働かなかったことが原因じゃないですよね?」
「そうですね、仕事をしたくてもできない状況でした」
「そういうイレギュラーな状況の場合は、7月1日現在でどういう状況なのか?によって計算が変わります。
- 7月1日現在で働き方が元に戻った場合
休業手当が支払われた月分は対象外としてお給料を平均します。つまり、今回は4月と5月に休業手当が支払われているために、6月のお給料を標準報酬月額の計算の対象とします。
- 7月1日現在でまだ働き方が元に戻っていない場合
4月、5月、6月のお給料の平均で標準報酬月額を計算します。
こうなりますね」
「そうなんですね」
「そしてもし、休業が4ヶ月以上に及ぶ場合には、4ヶ月目で標準報酬月の強制変更をします。5ヶ月目に支払われるお給料から社会保険料が少なくなる可能性があります」
「へえ・・・そうなんですね。私の場合は、6月からもとに戻っているから、6月のお給料、1ヶ月だけで計算するんですね」
「そうでなりますね」
「ありがとうございます。うーん、6月は残業増えるかもしれないんです。社会保険料が上がるかもしれないんですね」
「どうでしょうね?でもデメリットばかりじゃ」
「ありませんよね!」」
今日のポイント
- 4月、5月に休業手当が支払われていた場合は、7月1日の状況によって社会保険料の計算が変わる
- 7月は社会保険料の1年に一度の計算月です