会社員の方が確定申告をするときは?というテーマで、医療費がいつもより多かったときに、確定申告をすれば税金が安くなる可能性のある制度、医療費控除については以前のコラムでお伝えしました。
では、こんなことはなかったでしょうか?
身体は健康だったけれども、住んでいる家が健康ではなかった。
「容子先生、ちょっと聞きたいんですけど」
「はい、何でしょうか?」
「昨年台風があったじゃないですか。あれで家に被害を受けた人もいますよね?川が氾濫して床上浸水、というニュースも流れてましたよね。そんなときって、税金は安くならないんですか?損害分安くしてくれるとか、そんな制度ってないんですか?」
「ありますよ。損害分の一部分所得税と住民税が安くなる可能性がある制度があります」
「あるんですか!」
「はい、雑損控除(ざっそんこうじょ)といいます」
「ざっそん?」
「そう、ざっそんこうじょ。雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって自分の資産に損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。確定申告をすることによって、所得税と住民税が安くなる可能性があります」
(国税庁ホームページより)
「医療費控除と同じように、確定申告しないといけないんですね」
「そうですね、年末調整ではできません。自分で確定申告しないといけないんですね」
「えーと、災害はわかります。台風とかですよね?盗難は泥棒に入られたことで・・・容子先生、横領って何ですか?」
「横領は、自分の会社のお金を持ち逃げされた、ということですね」
「じゃあ、私には関係ないですね」
「そうですね、会社員の方なら、災害が一番関係があるでしょう」
- 災害や盗難、横領などによって自分の資産に損害を受けた
災害といっても色々あります。雑損控除の対象となる災害はどのようなものでしょうか?
- 地震、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害。台風や竜巻もここに含まれますね
- 火災、火薬類の爆発など人為による災害
- 害虫などの生物による異常な災害。例えばシロアリの駆除など
「容子先生、例えば台風の被害を少なくするために家を補強した費用なんかはダメなんですか?」
「災害によって実際に受けた損害が対象になります。台風が来ることを予想して家の周りを補強した費用は残念ながら対象になりませんね」
「実際にかかった費用なんですね」
「そうです」
- 災害や盗難、横領などによって自分の資産に損害を受けた
自分の資産も色々あります。お金も資産ですし、家も資産です。雑損控除の対象となる資産とは、自分が持っている資産か、同居している人が持っている資産です。同居している人の場合、一定の収入があれば対象外なので注意しましょう。
「容子先生、生活に必要な資産って何ですか?」
「住宅、家具、車などですね。別荘とか30万円以上の貴金属などは対象外です」
「例えば、床上浸水で現金が流れたときも対象外ですか?」
「現金も生活に必要ですから、対象になりますね」
「容子先生、損害額ってけっこう大きくなると思うんですが、その年だけしかこの制度は 使えないんですか?」
「翌年から3年使うことができます。ただし、確定申告は毎年必要ですよ」
「そうなんですね。少しでも税金が安くなるっていいですよね」
「昨年に台風などで損害を受けた場合には、雑損控除が使えるかどうか確認してみましょうね」
今日のポイント
- 台風などで家に損害を受けた場合には、確定申告をすることで所得税と住民税を安くできる可能性があります
- 損害が大きい場合は、毎年確定申告をすることで、翌年から3年間、雑損控除の制度が使えます