そろそろ10月のお給料日ですね。10月のお給料といえば、お給料の明細を見て何か気づいたことはありませんか?残業もしていないし、お給料の金額は9月と変わらないのに、10月は少し振込額が減ったとか増えたとか思ったことはありませんか?ん?まさか、お給料の明細は見ていない、なんてことはありませんよね・・・?
「容子先生、ちょっと気になることがあって確認しに来ました」
「はい、なんでしょう?」
「会社の給料明細には、時々通知みたいな紙が入っているんです。4月と、10月と、12月は必ず。4月は、今年度のお給料の明細というか、基本給いくら、手当いくら、という毎年の通知なんです。今年は基本給は変わらなかったんですけど・・・」
「4月は、基本給が変わらなくても通知が来るんですね」
「そうなんです。年度始めだから必ず通知するらしいんですね。で、12月は年末調整した後の書類、源泉、なんでしたっけ?」
「源泉徴収票?」
「そうそう、それです。源泉徴収票が入っているんですが、10月にも必ず通知みたいな紙が入っているんです。これはなんだろうと思って」
「通知にはなんて書いてありました?」
「社会保険とかなんとか」
「なんとか?」
「だって読んでもよくわからないんですよ。去年のは持ってきていないです。今年はまだお給料日はないですし」
「今年は通知の内容がわかるようになりますよ。それは、社会保険料の年度始めの通知です」
「年度始めは4月ではないんですか?」
「会社の年度始めはそうなんですね。でも、社会保険料の計算の年度始めは、10月なんです」
「えっ、そうなんですか」
「そうなんですよ。お給料から差し引かれているものは、それぞれ計算方法がちがうんです」
お給料から差し引かれているものは、次の6つです。
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳~65歳の人)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
このうち、健康保険料・介護保険・厚生年金保険料の3つを合わせて、社会保険料といいます。
雇用保険料と所得税は、残業代がついたりしてお給料が変化するつど、金額が変化します。
社会保険料と住民税は、お給料が変化するつど、金額が変化しません。ではいつ変化するのか?1年に1回変化します。
社会保険料が変化するのは、9月分の社会保険料からです。お給料から差し引かれる社会保険料は、前の月の分ですから、10月のお給料から社会保険料が変化します。
変化する社会保険料はいつ、どのように計算されているのか知っていますか?
- 4月と5月と6月に払われたお給料の収入金額の平均を出す。
例えば4月20万円、5月21万円、6月25万円なら、平均して22万円
- その金額を社会保険料の計算の元になる標準報酬月額表にあてはめて社会保険料を計算します。
22万円に当てはまる金額=20,130円が、10月に支払われるお給料から差し引かれます。(標準報酬月額表は、だいたい2万円ごとに金額を区切ってあります)
日本年金機構HPより
ここで、よく出てくる疑問を一つ。
「なるほど、社会保険料はこのように計算されてるんですね。あの容子先生、計算方法に4月と5月と6月が出てきますよね?よく4月から6月に残業しちゃダメって聞くんですけど、これはどういうことなんでしょう?なぜダメなんですか?」
「いい質問ですね!ダメという言い方になるのは、
4月から6月に残業したら、10月から差し引かれる社会保険料が多くなる可能性があるから
なんですね」
「ええ?じゃあ、お給料が少なくなるんですか?」
「金額だけ見ればそういうことです」
「それは困る・・・それはダメだ・・・」
「確かに困りますよね。でも、健康保険料や介護保険料は掛け捨てですが、厚生年金保険料が増えると、将来受け取る年金も増えますから、損ばかりというわけではないんですよ」
「あっ、そうなんですね。将来受け取る年金かあ、ピンとこないですね」
「ピンと来ない、よくわかります。今のお給料から将来の自分の仕送りをしていると思えばどうでしょう?」
「へえ、厚生年金ってそういうものなんですね」
「そうなんですよ。そういう面もありますね。10月のお給料に入っている通知は、
社会保険料の計算の元になる標準報酬月額は、今月から1年はこの金額です。
ということが書いてあるんです」
「なるほど、今月はお給料に入っている通知の意味がわかりそうです」
「もしわからないことがあったらいつでも聞いてください」
「頼りにしてます!」
今日のポイント
- 社会保険料の計算の年度始めは10月。
- 4月、5月、6月のお給料の平均で10月~次の年の9月までの社会保険料が決まる。