傷病手当金とは、会社員が会社を仕事や通勤以外の原因で休み、お給料が少なくなるときの生活保障の制度です。以前もコラムに書いています。
- 業務外(仕事・通勤以外)の病気、ケガで会社を休む
- 仕事ができず、給料がない、もしくは少ない
- 連続した3日間を休んだ後、4日目から支給
- 支給金額は、標準報酬日額の3分の2
- 支給期間は、支給開始から1年6ヶ月
厚生労働省
この制度が、2022年1月から一部変更されます。
変更されるところをお伝えする前に、今の傷病手当金の制度を利用するための注意点をお伝えしましょう。
会社で社会保険に加入し、お給料から社会保険料が引かれていることが必要です。
傷病手当金は健康保険の制度ですので、会社で社会保険に加入していない場合は、この制度は利用できません。ただし。2021年12月まで例外として、会社員で国民健康保険に加入している人が新型コロナウイルス感染症で会社を休んだ場合の傷病手当金があります。(延長されるかは未定です)
病気やケガで休んだ日が連続して3日あることが必要です。
この連続した3日を待期期間といいます。待期期間後、4日目から傷病手当金の支給開始です。連続した3日とは、会社を休んだ日です。お給料があるかないかは関係ありません。例えば、有給休暇を取って会社を休んだ日も、土日などもともと会社が休みの日も対象です。
支給金額は、標準報酬日額の3分の2が一日分で、休んだ日数分です。
標準報酬日額は、標準報酬月額を元に計算します。標準報酬月額とは、社会保険料の計算の元になる金額です。支給開始前12ヶ月間の標準報酬月額の平均をとります。平均を30で割って標準報酬日額(1日当たりの金額)として、さらに標準報酬日額に3分の2をかけます。
例として240,000円として、傷病手当金を計算してみましょう。
240,000÷30×2/3=5,333円。これが、傷病手当金の一日当たりの金額です。後は、休んでお給料がなかった(もしくは少なかった)日をかけると、もらう金額となります。 お給料がまったくなかった場合は、1日あたり5,333円。少しでももらって、1日あたり5,333円よりも少なかった場合は、差額が1日当たりの金額です。お給料が傷病手当金よりも多い場合は、傷病手当金の支給はありません。傷病手当金は、休んでいる間の生活保障のためですから、お給料があれば傷病手当金が上乗せされて支給されることはありません。
支給期間が支給開始から1年6ヶ月です。
※この支給期間が2022年1月から変わる部分です。
今は支給開始から1年6ヶ月ですが、これが通算1年6ヶ月に変わります。つまり、今の制度では、一度休んで仕事に復帰し、同じケガや病気が原因で再度仕事を休むことになったとき、最初の支給開始から1年6ヶ月以内なら傷病手当金はありますが、1年6ヶ月を超えていると傷病手当金はないということです。
通算1年6ヶ月になると、支給開始から1年6ヶ月を超えていても、傷病手当金を1年6ヶ月分すべてもらい終えるまでは、傷病手当金が支給されます。一度休んでその後は元通り、というのではなく、再発の恐れがある病気やケガなどの場合は使いやすい制度になりますね。すでに傷病手当金の支給が開始しており、2022年1月時に1年6ヶ月分すべてもらっていない場合は、残っている日分は支給されます。支給開始から1年6ヶ月経ったからもうもらえない、とあきらめる必要はなくなります。
ただし、傷病手当金が支給され、会社からお給料を受け取っていなくても、会社に所属している限り、社会保険料は払い続ける必要があります。免除してくれる制度はありませんので、気をつけましょうね。
今日のポイント
- 傷病手当金の支給が1年6ヶ月分になる
- 会社を休んでいる間でも社会保険料の負担は残る