年末調整を3回に分けてお伝えしてきました。
1回目は、年末調整とは会社員の所得税と住民税の確定申告のことで、会社があなたの手続を代わりにやってくれるもの、とお伝えしました。そして2回目では、年末調整の手続のために必要な書類の一つ、扶養控除等申告書、3回目は、保険料控除申告書についてお伝えしていますね。
年末調整の最終回となる今回、お伝えするのは、扶養控除等申告書と保険料控除申告書以外に提出する書類と、年末調整のゴールです。
「容子先生、扶養控除等申告書と保険料控除申告書は書けました。他にも書類があったんですが、これはいつも出していないんです。出さなくていいんでしょうか?」
「どれどれ、配偶者控除等申告書ですね。これは配偶者、つまり夫か妻がいる人が出すものですから、夫か妻がいない人は出す必要はないですね」
「扶養控除等申告書のように、扶養している人がいなくても出さないといけないわけではないんですね」
「そうです、配偶者控除等申告書は、配偶者がいなければ出す必要はありませんよ」
「よかった、じゃあこれは出す必要はない書類ですね。あ、あと、容子先生、提出書類チェックリストを見てたら、住宅借入金等特別控除申告書と書いてあったんですが、これは何ですか?」
「提出書類チェックリストがあるんですか、すごいですね」
「すごいですか?」
「提出書類チェックリストがなく、書類だけ渡す会社も多いですからね。ところで、住宅借入金等特別控除申告書ですね」
「はい」
「これは、マイホームを住宅ローンを使って買った人が提出するものです」
「あ、私は賃貸だから関係ですね」
「賃貸にお住まいなら、関係ないですね。出さなくても大丈夫です」
「これで書類はすべてそろったから、後は会社の年末調整担当に出すだけです。ありがとうございました」
「どういたしまして」
年末調整の書類はすべて記入して、書類につけるものも揃いました!これで年末調整は終了でしょうか?いえいえ、ゴールまではあとワンステップあります。
「ところで容子先生、年末調整が終わったらもらうものがありますよね、あれは何ですか?」
「年末調整が終わったらもらうもの?もしかして、源泉徴収票ですか?」
「そうそう、そんな名前のものです」
「源泉徴収票は、あなたの年末調整の結果をまとめた書類です」
「年末調整の結果をまとめた書類?」
「年末調整とは、会社員の所得税と住民税の確定申告のことで、会社があなたの手続を代わりにやってくれるもの、でしたよね?」
「はい、そうでした」
「手続が終わったので、手続の結果を教えてくれるんですよ。例えばあなたの1年間の実際に払った所得税の金額が源泉徴収税額の欄に載っています」
「そうなんですね、今までちゃんと見ていませんでした・・・今年はきちんと見てみます」
「そうしましょう。あなたが書いた書類の結果ですからね」
「はい!あ、でも容子先生?」
「はい?」
「住民税は書いてありましたっけ?」
「住民税は源泉徴収票には書いてありません」
「えっ、年末調整は所得税と住民税の確定申告じゃないんですか?住民税をまとめた書類はいつ、どうやってもらえるんでしょう?」
「住民税の金額を計算した結果のまとめ書類が来るのはちょっと遅いんです。毎年6月に、住民税の通知書が来ませんか?」
「えーっと、来てた、かも?」
「住民税の特別徴収税額の通知書、というものが6月に来ます。それが住民税の計算結果のまとめ書類です。年末調整の結果を会社があなたが住んでいる市区町村に伝えて、その結果が会社を通じてくるんですね。それが来年6月です」
「けっこう遅れてくるんですね」
「そうですね、でもちゃんと計算の結果は来るんですよ。こちらもきちんと見ておきましょうね」
「はい、わかりました」
年末調整の手続は、所得税と住民税のまとめ書類を受け取ったらゴール!です。
でも実は年末調整では終わらない手続も・・・
「他に・・・あっ、ありました!これは年末調整で使えないと聞いたんですがどうしたらいいですか?」
「どれでしょう?病院の領収書ですね。もしかして医療費控除、ですか?」
「そうそうそれです!これは年末調整ではできないんですよね?」
「そうですね。では次回、年末調整ではできない手続、つまり自分で確定申告をしないといけない手続をお伝えしますね。もうそろそろ準備をしておいた方がいいですよ」
「わっ、ありがとうございます!でも確定申告は2月からでないとできないんじゃないんですか?早くないですか?」
「所得税を返してもらう手続だけなら1月でもできるんですよ。だから早めに準備をしておきましょう」
「はい!」
今日のポイント
- 年末調整の書類、配偶者控除等申告書と住宅借入金等特別控除申告書は、必要な人だけ提出しましょう
- 年末調整ではできない手続もあります。