2019年7月10日の日本経済新聞夕刊に、このような記事がありました。
増え続ける認知症患者への安全網として、患者が起こした事故の損害賠償を地方自治体が保険でカバーする動きが出ている。
2019年7月10日 日本経済新聞 夕刊
この記事は、認知症患者が起こした事故の損害賠償を、家族ではなく自治体(市区町村)が代わりにすることがある、というものです。
認知症はもはや家庭内の問題ではないと認識している自治体がある、ということに興味をひかれました。
子どもがわざとではなく起こしてしまった事故の損害賠償のためにある保険を、個人賠償責任保険、といいます。対象は子どもだけではありませんが、お店の商品を壊してしまった、ペットが人にかみついた、自転車で事故を起こしてしまった、ということに対して補償してくれる保険です。
ただ、個人賠償責任保険は、自動車保険や傷害保険にプラスする形でしか加入できません。個人賠償責任保険だけでは加入はできないのです。高齢者の方が自動車を手放したりして個人賠償責任保険に加入していない状態で事故を起こしてしまったら・・・。
そんな危険性を家族のみでかかえこむのではなく、地域でカバーしよう、という動きが出ているのです。自治体が一定の条件を満たす人を対象にして、個人賠償責任保険に加入し、自治体が保険料を払う。そうすれば、もし事故が起こった場合でも、家族がお金や精神面の負担をかかえることは少なくなるでしょう。もちろん損害を受けた側も。
どのくらいの自治体が導入しているのか、と記事を確認してみると、今導入している自治体は16、来年導入予定を含めても20です。兵庫県なら神戸市が導入しています。日本の市区町村数は1,741(2018年10月現在)ですから、1%ちょっとですね。
認知症防止という入口、万一の事故発生時の負担軽減というの出口、両方にはやはり個人だけではなく、自治体や国という大きな力も必要のようですね。