普通預金や定期預金では増えない、でも株式投資は危ないし、どうしようかなと思ってたら、銀行で外貨預金のキャンペーンをやってたんです。ちょうど満期になった定期預金を解約して外貨預金に預け替えしたんですけど、これってオトクですよね?
ご相談というより、事後報告でこういったお話をよく聞きます。
オトクといえばオトク、でももしかしたら損するかもしれませんよ?こう言うと、驚きと同時に不安な表情を浮かべることがほとんど。おや?あなたもちょっと顔色が変わりましたね?もしかして定期預金を解約して外貨預金に預けたところですか?
どんな人がしてもオトク、そんなものはないですし、どんな人がしても損、そんなものもありません。例えば化粧品も、モデルがつけているのを見てとても素敵、と思ったとしても実際につけてみると全然印象がちがう、ということがありますよね。これはあなたが悪いのではなく、モデルとあなたがちがう人だからです。あなたに似合う色がモデルには合わない、もしかしたらモデルがあなたをうらやむこともあるかもしれません。
外貨預金に預けることがあなたにとってオトクかどうか、は、外貨預金を知ることが大切です。もしかして、預けるのが円ではなく外貨のちがいだけ、と思っていませんか?外貨預金を知って、あなたに合っているかどうか、相性チェックしましょう。
外貨預金の特徴
- お金を預け入れるときに円を外貨(ドルなど)にかえて入金することがほとんどです。このときに、円を外貨に換える手数料がかかります。
- 預けているときには、利息があります。この利息の金利が円の預金よりも大きいものが多いので、オトク!と思ったのではありませんか?確かに見たときにはオトク!こんな利息ない!と思ったかもしれません。でも、よーく見てみてください。1ヶ月、とか3ヶ月、とか書いてあったりしませんでしたか?もし1ヶ月なら預け入れて1ヶ月だけがその金利で、しかも書いてあるその金利は年利、つまり1年間の率。12で割ってみて、しかもそこから20.315%の税金が引かれますから、12で割ってそこから約2割引きの金額が受け取れる金額です。
- そして引き出すとき。円で引き出そうと思ったら、為替レートが影響します。為替レートとは、お金を交換するときの価値です。両替ではありませんよ、両替は円を円に交換しますからね。この交換は、円とドルなど、価値のちがうものを交換するときです。今日は1ドルが100円、明日は1ドルが101円など、毎日変わります。外貨預金を円で引き出すときにも、外貨を円に換えるので手数料がかかります。
あれ?考えてないことが多かったですか?ではちょっと例を出してみましょうね。
例えば外貨預金、ドルで預け入れます。預け入れる金額は10,000ドル、金利は計算しやすいように9%(1ヶ月)。
預け入れるときに1ドル=100円だったとしますね。 10,000 ドル預け入れます。円を外貨にかえる、外貨を円にかえる手数料がだいたい1ドルにつき0.5円かかります。もっとかかるときもあるので注意しましょう。
預け入れるときにかかるお金は、100円× 10,000ドル=100万円と、円を外貨にかえる手数料0.5円×1万ドル=5,000円で1,005,000円。
もし1ヶ月だけ預け入れてすぐ出すとすると、もらえる利息が1万ドル×9%=900円÷12ヶ月で75ドル。ここから税金が20.315%引かれますから、60ドルですね。
そしていよいよ引き出し。1ドル=同じ100円だったとします。元本は、 10,000ドルプラス60ドルで10,060ドルになっています。10,060ドル×100円=1,006,000円。ここから、外貨を円にかえる手数料が同じく0.5円かかります。0.5円×10,060ドル=5,030円。
すると、引き出した金額は1,000,970円。1,000,000円が1,000,970円になりました。円の利息だと、0.997%です。 どうでしょう?円の定期だと、たまに1%を超えるものもありますから、あまり変わらないかもしれませんね。
外貨預金は、円の定期預金や普通預金とちがって、為替レートや手数料が影響します。手数料が1ドル1円なら、手元に残るお金はもっと少なくなります。単に金利だけ見てオトクかも!と思ってしまうと、思ったより増えなかった・・・ということがあるかもしれません。
もちろん、外国へよく行く人で、海外で外貨で引き出すことが多ければ、外貨預金は役立つでしょう。また、円で引きだすのではなく、外貨(ドルやユーロ)で引き出すものもあります。使い方次第でうまく増やすこともできます。
今まで外貨預金をしたことがない人は、まず生活に影響しない資金で、1年以上外貨預金とつきあってみましょう。為替レートにも興味がわいてくるかも?
あなたの資金をうまく活用する方法を増やしていきましょうね。