学校を卒業して、ずっと同じ会社に就職し、定年まで勤める。そんな働き方がめずらしくなってきています。20代で転職経験がある人は約40%とのデータもあり、2~3人に一人は転職を経験しているということになるでしょう。私自身は20代~40代前半まで、トータルで9社に勤めましたが、さすがにそれほど多くはなくても、2~3社で働くという人は多いのではないでしょうか。そして、一つの会社と一つの会社の間には、必ず求職中という時間がありませんか?
「容子先生、ご相談、というか質問があるのですが」
「はい、何でしょう?」
「書類を整理していたらこんなものが出てきたんです」
「はい、ええと、国民年金基金加入員証ですか」
「はい、以前今の会社に入る前に国民年金基金に入っていたんじゃ、ないかと・・・」
「なぜ声が小さく?」
「あまり覚えてなくて・・・」
「ええと、終身年金に一口入られていますね」
「これって、何なんですか?」
「えっ?国民年金基金に入っていたという証明書ですね。国民年金基金を払っていたと思うんですが?」
「そうだったかな?すすめられたのでなんとなく入って、払っていたか、な?容子先生、国民年金基金ってなんですか?」
国民年金基金とは、65歳からもらえる老齢基礎年金の上乗せ年金です。
(国民年金基金連合会ホームページより)
「今、会社に勤めていて、厚生年金に入っていますよね?」
「はい」
「厚生年金に入っている期間は、65歳からは老齢厚生年金と老齢基礎年金をダブルで受け取れますが、会社に入る前に求職中などの期間があって、国民年金のみに入っている期間は、老齢基礎年金のみのシングル受け取りになります。ダブルよりも受け取る金額が少ないんですね」
「少なくなる金額を補うために入るのが国民年金基金なんですか?」
「そうそう!そうです。国民年金基金だけではなく、付加年金やiDeCoもシングル受け取りの期間の少ない年金を補うために入るものですね」
「そうなんですね・・・えっ?容子先生、65歳からとおっしゃいました?」
「はい、65歳から老齢基礎年金を受け取るときに同時に請求して受け取るんです」
「さらっとおっしゃいましたけど・・・じゃあ、私この証書はどうしたら?」
「65歳まで持っておいてください。加入員番号とか書いてありますよね?請求のときに要りますから」
「保険みたいですね」
「年金は保険制度の一つですから」
「それで、私はいくらもらえるんでしょう?この証書には書いていませんよね」
「加入状況等のお知らせなどは届いていませんでしたか?」
「あっ、来てたかも・・・」
「そこに書いてありますよ。もしなければ、国民年金基金連合会に聞いてみるといいかもしれませんね。再発行してもらえるかもしれません。問い合わせ先はここですね」
(国民年金基金連合会ホームページより)
「わあ、先生、ありがとうございます」
「ところで、証書には書いてありませんが、国民年金基金にはどのくらいの期間入ってましたか?」
「ええと・・・1年も入っていなかったかと」
「それなら、それほど多くはないと思いますよ。私も終身一口で9ヶ月だけ入っていましたが、1万円ありませんから」
「年で?」
「はい、年で」
「少なっ!」
「でも、生きている間ずっと受け取れますし、せっかく掛金を払いましたからね」
「あの、容子先生、私が心配するのも何なんですが、プラス年金はどうされておられるんでしょう?」
「ご心配ありがとうございます。今は付加年金とiDeCoに入っています」
「あっ!付加年金!それも聞きたいんです!」
「では次は付加年金について、ですね」
「よろしくお願いします!」
今日のポイント
- 国民年金基金は65歳から受け取る老齢基礎年金のプラス年金
- 厚生年金に入っている間は加入できない