社会保険料は1年に一度変わります。社会保険料とは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料のことですね。社会保険料の年度は9月から8月なので、9月分から社会保険料を計算する元になる標準報酬月額が変更になり、社会保険料は1ヶ月遅れでお給料から引かれますから、10月のお給料から引かれる社会保険料から変わります。年に一度、10月のお給料から引かれる社会保険料。ところが、今年は少し変わっている、ようです。
「容子先生、10月のお給料明細で質問があります!」
「はい、どうぞ」
「毎年10月のお給料で社会保険料が変わっていると思うんですが、今年は変わっていないんです。どうしてでしょう?」
「そうですね・・・あっ、もしかしたら、4月や5月に休業手当をもらっていませんでしたか?会社に行ってなくて、お給料が少なかったとか?」
「そうです。6月まで会社が休みで7月も半分くらいしか会社に行っていなかったので、お給料が少なくなってました」
「いつまで会社はお休みだったんですか?」
「えっと、7月15日から毎日会社に行くようになりました」
「7月1日はまだ会社はお休みだったんですね」
「そうですね、7月1日のときにはまだ休みでした」
「それでは、こういうことかもしれません」
いつものお給料が200,000円(標準報酬月額は、健康保険が200,000円(17等級)、厚生年金も200,000円(14等級)とします。
(全国健康保険協会兵庫支部ホームページより)
今年のお給料(4月7日から7月14日まで会社は休み)
- 4月 50,000円
- 5月 50,000円
- 6月 50,000円
- 7月 110,000円
- 8月 200,000円
- 9月 200,000円
4月と5月と6月の平均をとります。(50,000+50,000+50,000)÷3ヶ月=50,000円です。標準報酬月額は健康保険は50,000円(1等級)、厚生年金保険は88,000円(1等級)です。いつものお給料のときは17等級ですから、1等級との差は2等級以上ありますね。2等級以上差があるときは、随時改定といって、毎年変わる10月を待たずに標準報酬月額を変更できます。
- 新型コロナウイルス感染拡大により会社がお休み
- 休業手当が払われている、払われていた
- 7月1日の段階でもまだ休業の状態が解除されていない
- 標準報酬月額の差が2等級以上ある
この場合には随時改定ができます。いつからでしょう?それは、
低いお給料が払われ始めた月から4ヶ月目、今回の場合は7月から
です。7月から標準報酬月額が変更になり、社会保険料が変わります。社会保険料は1ヶ月遅れで給料から引かれますので、8月のお給料から社会保険料が変更されます。
以前のコラムでも書いています。
「社会保険料は8月に変更になりませんでしたか?」
「そういえば・・・8月の給与明細・・・あっ、変わってます!」
「そうですね」
「でもでも、容子先生?」
「はい、なんでしょう?」
「8月からお給料は元に戻っているんです。そうなるとどうなるんですか?10月のお給料ではまだ社会保険料は変わっていません」
「こうなりますね」
お給料は、
- 7月 110,000円
- 8月 200,000円
- 9月 200,000円
7月と8月と9月の平均は(110,000+200,000+200,000)÷3ヶ月=170,000円です。標準報酬月額は健康保険は170,000円(14等級)、厚生年金保険は170,000円(11等級)になります。今は1等級ですので、2等級以上の差があります。
「あっ、容子先生!わかりました!また4ヶ月目から変わるんですね?」
「正解です!」
「7月、8月、9月、10月で4ヶ月目だから、10月から標準報酬月額が変わりますよね?」
「その通りです」
「標準報酬月額が変わったら社会保険料が変わる、社会保険料はその翌月から変わるから・・・お給料から引かれるのは1ヶ月遅れの11月から?」
「そうなりますね」
「来月ですね。コロコロ変わるんですね」
「今年はお給料の変動が大きかったからですね、特別ですよ」
「私、変わるなら1年に一度がいいです」
「私もです」
今日のポイント
- 社会保険料は10月のお給料から変わる
- 休業手当が払われ、7月1日現在でまだ休業中の場合は年に何度も社会保険料が変わることもある
(日本年金機構ホームページより)
※4.留意事項の(3)の一時帰休(いちじききゅう)が今回の例に該当します。