2020年10月28日の日経新聞にこんな記事がありました。
カリフォルニア州の控訴裁(アメリカの裁判所)が、ウーバーイーツの配達者を使っている会社に、配達者を個人事業主ではなく従業員とするように命じ、カリフォルニア州の法律を見直すべき声があがって住民投票が行われる。そして、こんな記述が。
自由な働き方か。権利の擁護か。
(日本経済新聞 2020年10月28日朝刊 春秋より)
自由な働き方は自営業、自由業、フリーランスでしょうか。権利の擁護は、会社員のイメージですね。
働き方改革が動き始めてから1年半、新型コロナウイルス感染拡大によりすっかり影が薄くなっていますが、2020年の4月から中小企業も働き方改革の波はをかぶり始めています。残業時間の規制、有給休暇の取得など、今まではなんとなく見逃していたことを、会社がきちんと管理しなくてはいけません。会社がきちんと管理しないといけないということは、管理される社員にも影響があるということです。
例えば残業時間の規制。月80時間を超える残業はできなくなりました。
(厚生労働省HP)
月80時間を超える残業は、単純計算すれば週休2日の会社で毎日4時間を超える残業をしているということです。休日出勤をすれば毎日4時間を超えなくても月80時間を超えることもあるでしょう。毎日2~3時間残業、土日どれかは出勤してるなあ、そんな人は残業時間が80時間を超えているのではないでしょうか?
残業するのが普通、で仕事をしていると、今の仕事のやり方では今までの仕事は達成できないでしょう。あなたのするべき仕事が多すぎるのか?仕事の進め方を変えればよいのか?人数がそもそも足りないのか?会社は頭を悩ませます。そう、会社です。従業員に考えなさい、と言いはしても、結局最終的に結論を出すのは会社です。仕事の配分を変える、やり方を考える、人数が足りなければ募集する。それを社員自身がすることはありません。私はこれを権利の擁護と考えます。最終的な責任は会社にあり、会社員は会社と交わした契約内で仕事をして給料を受け取る。これが自由がない、きゅうくつと言う人もいますが、これが、権利を守られている以外の何でしょう。自分でやり方を考えなくてもよい、最終的な決断をしなくてもよい。働けば給料は一定保障される。守られているのではないでしょうか?
逆に、自分でやり方を考える、最終的な決断をすることができるのが、自由な働き方、自営業、自由業、フリーランスです。責任はすべて自分にありますが、会社員から見れば自由な働き方に見えるのでしょう。ただし、権利が守られているか、という点については、守られているものは会社員に比べて少ないのが現実です。定期的な収入の確保、社会保障、守りが少ない代わりに自由がある、それが、自由な働き方、です。
自由な働き方か権利の擁護か。どちらも手に入れることはできません。ただ、今いる場所で自分に合った働き方をすることで、どちらかが足りないという不満からは抜け出せると私は思います。
自分が仕事に対して何を求めているのか、何を大切にしているのか。
それがわかっていれば、どんな働き方をしていても、きっと今いる場所で輝くことができる、と私は信じています。