年末調整については、前回まで5回にわたってお伝えしてきました。今回から3回にわたって、確定申告についてお伝えします。
年末調整についてはこちらのコラムをどうぞ。
確定申告とは、あなた自身が所得税を計算して確定させ、申告して所得税を支払う手続です。会社員であれば、確定申告は必要ない場合が多いですが、確定申告をする必要がある、確定申告をした方がいい場合があります。
確定申告をする必要がある場合
- 年間のお給料・賞与の合計額が2,000万円を超える
- 給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円を超える
- 2ケ所以上からお給料を受けていて、年末調整をされなかったお給料・賞与の合計と給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える
- 住宅ローン控除を受ける場合の1年目
所得とは、収入から経費を引いた金額です。給与所得では経費のことを給与所得控除額、退職所得では退職所得控除額といいます。
確定申告必須です。必ず確定申告をしましょう。
確定申告をした方がいい場合
- 年末調整ではできない控除を受ける
- 年の途中で退職し、12月現在で就職していない
- 年末調整で申告がもれていた控除がある
確定申告をすると、所得税・住民税が少なくなる可能性があります。
確定申告が必須の人は必ず確定申告するとして、確定申告をした方がいい場合についてお伝えしましょう。年末調整ではできない控除は次の4つです。
- 雑損控除
災害や盗難などで家財に損害があった場合です。ただし、詐欺や恐喝の被害は対象外です。例えば、台風で家に浸水被害があった場合に、損失額-課税標準×10%か、災害関連支出-5万円のいずれか大きい金額が対象です。
国税庁ホームページ
災害の被害の場合は、災害減免法による税額控除(所得税から直接引くことができる控除)もありますが、雑損控除とどちらか選ぶことになります。どちらが税金を少なくできるかは、税務署に確認してみましょう。
- 医療費控除
支払った医療費が一定金額以上だった場合、所得控除の対象になります。1年間に支払った医療費(あなたの分だけでなく、家族分も対象です)の合計額から10万円と、総所得金額(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」)の5%のいずれか多い金額を引いた金額が対象です。
医療費を安くする制度には、健康保険の高額療養費がありますが、確定申告では、健康保険がきかない自費診療も対象になります。実際に支払った医療費が対象ですから、高額療養費制度で戻ってきたり、医療保険の給付金などをもらった場合には、差し引いて計算しましょう。
国税庁ホームページ
- 寄付金控除
国や地方公共団体、一定の団体への寄付金が対象です。ふるさと納税をされていませんか?ふるさと納税も寄付金控除の対象です。年間の寄付金の合計額から2,000円を引いた金額が所得控除の対象になります。
国税庁ホームページ
ふるさと納税をするときに、ワンストップ特例を申請した人は、本来ならば確定申告は不要です。所得税から引かれる金額を、住民税からまとめて引いてくれます。ただし、ワンストップ特例を申請した場合でも、医療費控除などを使うために確定申告をした場合には、ワンストップ特例は使えず、ふるさと納税も一緒に確定申告が必要です。
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
- 配当控除
株式を持っていて、配当を受け取っていた場合や、投資信託の分配金を受けていた場合に、確定申告をして配当総額を収入に入れて計算することで、所得税から直接引くことができる配当控除が受けられます。配当総額の10%か5%です。
国税庁ホームページ
いかがでしょう?確定申告をする必要がありますか?確定申告をした方がよさそうですか?
確定申告をして、所得税が戻ってくるのであれば、来年の1月から確定申告ができます。所得税を追加で払う必要がありそうなら、来年の2月16日から確定申告ができます。 準備が必要になりそうですか?
次回は、確定申告をした方がよさそうなときに、準備する書類についてお伝えしましょう。
今日のポイント
- 確定申告はあなたが所得税を計算して申告する手続
- 確定申告が必要な場合、確定申告をした方がよい場合がある