前回のコラムで、年末調整とは会社員の所得税と住民税の確定申告のことで、会社があなたの手続を代わりにやってくれるもの、とお伝えしました。
今回は、毎年の年末調整で必要な書類についてお伝えします。書類はたくさんあるので、3回に分けてお伝えします。1回目の今回は、必ず提出する書類です。
「容子先生、会社から色々書類をもらったんですが、これ全部書いて出さないといけないんでしょうか?」
「会社から色々書類をもらったんですね。一つずつ、書いて出さないといけないか確認していきましょうか」
「はい、容子先生。まずはこれです」
(国税庁ホームページより)
「扶養控除等申告書ですね」
「あの、容子先生、扶養って何ですか?」
「扶養とは、あなたの収入であなた以外の人の生活を支える、ということですね。この扶養控除等申告書には、あなたの収入で生活している人の情報を書きます」
「私には私の収入で生活している人はいないから、この書類は出さなくていいんですね?」
「いえいえ、それはちがいます。扶養控除等申告書は必ず書いて出さないといけません。あなたの収入で生活している人、ここにいますよね?」
「はい?」
「あなた自身がいますよね?」
「あっ、そうか!」
「それと、扶養控除等申告書を提出する理由は、あと2つあります。こちらの方が重要ですよ!」
「どんな理由ですか?」
扶養控除等申告書を提出しないと、
- 来年の年末調整の対象とならない
- 来年1月のお給料から引かれる所得税が多くなる
というデメリットがあります」
「年末調整されないと困ります!それに、引かれる所得税が多くなるってどういうことですか?」
「例えば、お給料が200,000円だった場合、引かれる所得税の金額のちがいはこうです。
- 扶養控除等申告書を提出した場合→5,480円(扶養する人がいない場合)
- 扶養控除等申告書を提出しなかった場合→26,800円」
「 ええっ?えーっと・・・5倍?」
「そうです、痛いですよね?」
「絶対書いて出します!一番上の氏名とか住所を書いておけばいいんですよね?」
「そうです、印鑑を押すところがあるので書き終わったら押しましょうね」
「はい!」
「それと、書類は消せるボールペンでは書かず、きちんとボールペンで書きましょう」
「は?」
「書き直せるから、といって消せるボールペンで書く人がいるんですよ。ほら、それ、消せるボールペンじゃありませんか?」
「あっ、いつもこれで書いているから・・・」
「手続に使う書類は、誰かが勝手に書き直せないようにボールペンで書くことになっています。気をつけましょうね。」
「はい、わかりました。ボールペンですね」「そうそう」
「あっ、容子先生、私、一つ気がつきました!」
「なんでしょう?」
「この扶養控除等申告書だけ、他の書類とちがって、来年の分です!令和2年度(※今は2019、令和元年)って書いてある!来年の年末調整や、来年からのお給料から引かれる金額にかかわるからですね?」
「おー、正解です!素晴らしい!」
「やったー!」
「では次回は、保険料控除等申告書についてお伝えしますね」
「はい、容子先生、よろしくお願いします!」
今日のポイント
- 扶養控除等申告書は正社員なら必ず出しましょう。
- 扶養控除等申告書を出さないと、来年の年末調整の対象とならなくなったり、お給料から引かれる所得税の金額が大きくなります。