「もしものときのために保険には入っておいた方がいいですよ」
そう言われて保険に入る人は多いのです。私もそうでした。ただ、保険にも色々あって、全員が同じ保険に同じように入る必要はありません。ありませんが、もしものとき、と言われると心が揺らぐもの。今回は、保険の中でも、個人賠償責任保険に入るときのポイントをお伝えします。
個人賠償責任保険とは?
個人賠償責任保険は、あなたが他人に対して損害賠償をすることになるときに備える保険です。前回お伝えした火災保険と同じく、公的なバックアップはありません。
他人に対して損害賠償をすることになるときとは何でしょう?
- お店で誤って高価な商品を壊した
- 飼い犬が人に嚙みついてケガをさせた
- 自転車で人にケガをさせた
- バットで素振りをしていて、そばにいた人にケガをさせた
- ベランダからうっかり鉢植えを落として、他人の車に傷をつけた
高価な商品を弁償する場合にもお金は出ていきます。ですが、大きな金額が出ていく可能性が高いのが、人にケガをさせた場合です。
例えば、あなたが自転車に乗っていて歩行者とぶつかり、歩行者が意識不明になってしまった場合、どのくらいの損害賠償を請求されると思いますか?
過去の例では、小学生が自転車に乗っていて、歩行者とぶつかり、相手が意識不明となったため、9,521万円の損害賠償を請求された例(平成25年7月4日判決)があります。
裁判所ホームページより
どちらも、では賠償金を払います、といえる額ではありませんよね。そんなときのために個人賠償責任保険に入っておきます。補償額は1億円以上がいいでしょう。自転車事故に備えるには、自転車保険というものもありますが、これは自転車事故しか補償されません。
個人賠償責任保険は、あなただけではなく家族も対象です。
家族がそれぞれ個人賠償責任保険に入る必要はありません。
家族がうっかり他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったことに対しても補償されます。ただし、自分のケガについては補償されませんので、それは健康保険などで対応しましょう。
個人賠償責任保険は、個人賠償責任保険だけでは入れません。
自動車保険や火災保険、傷害保険、住宅総合保険などで特約(オプション)として入れます。クレジットカードに付いている場合もあります。
あなたが今入っている火災保険などにもしかしたらすでに特約としてプラスされているかもしれません。確認してみましょう。
個人賠償責任保険に複数入っていても、補償は実際の損害額しか補償されません。
例えば一つの火災保険と自動車保険でそれぞれ1億円の補償額の個人賠償責任をダブルで入っていたとしましょう。9,000万円の損害賠償を請求されたとしたら、2億円ではなく、損害賠償額の9,000万円しか保険金は出ません。保険料が無駄になるかもしれませんね。
個人賠償責任保険は、補償額が1億円でも、保険料は年間で1000円を超えないことが多く、それほど負担にはなりません。火災保険と同じく、公的なバックアップがないことに対しては、ぜひ保険で備えておくことをおすすめします。
保険については今回で終了です。次回は、貯蓄体質の家計についてお伝えします。貯蓄体質の家計ってどんな家計でしょうね?