自動車に乗る人は必ず自賠責保険に加入します。これは強制保険で、万一事故を起こして加害者になったときに、被害者が何も賠償を受けられないことがないようにするためです。その他にも、対人賠償保険や対物賠償保険など、自動車に乗る人は加入していることが多いですね。自動車で事故を起こした場合は、費用が多くかかることは想像がつきますので、自動車に乗る=自動車保険に入る、は当然と認識されています。 ところが、自転車に乗る人が必ず自転車保険に加入しているか、というとそうでもないようです。統計では59.5%(au損害保険株式会社”2020年度 全国自転車保険加入率調査”より)の人が自転車保険に加入しています。自転車に乗る=自転車保険に入る、は自動車に比べれば当然とは思われていないのかもしれませんね。
ところが、自転車であっても、事故を起こした場合には、多額の損害賠償を請求される可能性があります。実際、2013年に、被害者が意識不明の重傷で、加害者に9,500万円を超える賠償が請求された例があります。そんな賠償額、払えない?そうかもしれません。でも、加害者が払えないからと、被害者が泣き寝入りすることは避けないといけません。自転車保険に加入する大きな意味は、被害者が泣き寝入りすることを避けることです。自転車に乗っている人は、自転車保険に加入しておきましょう。
自転車保険とは、
- 個人賠償責任(他人にケガをさせた賠償のため)
- 死亡や後遺障害(自転車に乗っていた人や遺族のため)
- 入院や通院、手術(自転車に乗っていた人のため)
などが補償される損害保険です。メインは個人賠償責任です。他人を相手に事故を起こした場合の賠償金のためですね。あなた自身のケガは、健康保険を使って治療を受けることができますし、もし自転車を通勤で使っていたとすれば、労災保険を使うことも可能です。でも損害賠償には、そういった社会保障はありませんし、金額も大きいのであなた自身では払えない可能性も高いですよね。
では早速自転車保険を調べて加入を、と思ったあなた、ちょっと待った!
個人賠償責任は、もしかしたら、あなたが今入っている保険の中にすでに補償があるかもしれません。
今入っている火災保険や住宅総合保険を調べてみましょう。その中に、個人賠償責任の補償はありませんか?あれば、プラスで自転車保険に入る必要はないでしょう。例えば火災保険の個人賠償責任が3億円、自転車保険の個人賠償責任が1億円の場合、補償金額が4億円になるわけではありません。個人賠償責任保険は1つでいいのです。加入していても補償がないなんて、保険料ももったいないですよ。
自転車に乗るあなた、個人賠償責任の補償はつけていますか?万一のときの備えの保険は上手に使いましょう。
ちなみに、個人賠償責任保険自体の保険料は少ないですが、個人賠償責任保険のみでの加入はできません。火災保険、住宅総合保険、自転車保険などにプラスで加入します。