子どもが小学校に入るまで扶養範囲内で働いて、その後フルタイムに復帰したい、と考えている人は、扶養範囲内で働くルールについてはほぼ知っています。お給料なら、103万円以下なら社会保険の扶養にも入れて、配偶者控除(所得税・住民税)も受けられる。社会保険料を支払われなくても健康保険を使っての治療を受けられて年金も基礎年金部分が積みあがっていきます。
ところが、扶養範囲内で働くことは今後考えどころでは?と私は思っています。理由は二つ。
今年(2021)年10月の最低賃金の値上げ。最低賃金は毎年上がっていますが、今年は全国的に約28円アップします。最低賃金は時間給の最低ラインです。扶養範囲内で働く人は、時間給で働いている人が多いですから、最低賃金ギリギリの時間給で働いている人は、時間給が10月からアップします。
時間給がアップして働く時間が同じなら、1年間の総収入は増えます。総収入が増えたことによって所得税の扶養範囲内からはずれ、配偶者控除が受けられないことがなくなる可能性もあります。
ただ、所得税の扶養からはずれても、社会保険の扶養から外れなければ社会保険料を自分で支払うことはありません。社会保険料を自分で支払うのは、働いている会社の正社員の4分の3以上で働いている人です。正社員が週40時間(1日8時間、週休2日)で働いているときは、週30時間以上で働いている人が社会保険の対象になります。
- 時間給1,100円、1週間24時間で働いていれば、年間収入は社会保険の扶養範囲内の条件の一つの130万円未満ですから、社会保険の扶養にとどまります。
ところが、この働き方だと、 来年(2022)年 から社会保険の扶養からはずれ、社会保険に入ることになるかもしれません。
短時間労働者の社会保険加入拡大です。来年(2022)年10月から社会保険に加入している人が101人以上の会社で働いている短時間労働者が対象です。今は、社会保険に加入している人が501人以上の会社で働いている短時間労働者が、社会保険に加入しています。
短時間労働者とは、こんな働き方をしている人です。
- 週20時間以上
- 月88,000円以上
- 1年以上の契約
- 社会保険に加入している人が501人以上の会社で働いている
1年以上が2ヶ月以上に、501人以上の会社が101人以上になります。
さきほど、社会保険の扶養の範囲内であった働き方で確認してみると、
- 1日6時間×4日=週24時間→20時間以上
- 1,100円×6時間×4日×4週間=105,600円→88,000円以上
101人以上の会社で働き、2ヶ月以上の契約なら、社会保険の扶養からはずれ、自分で社会保険に入り、社会保険料を支払います。今のままの働き方で、社会保険の扶養のままでいたい、ということはできなくなります。
社会保険に入るか、社会保険の扶養のままでいるか、を選ぶことはできません。社会保険に入る働き方で働くのなら、社会保険に入ります。
社会保険に入り、社会保険料を支払うことは、長期休業したときにお金が出たり、出産や育児のときにお金が出たり育児休業中は社会保険料免除を受けられたりなどメリットもたくさんあります。
社会保険に入るメリット、扶養のままでいるメリット。制度の変更まで1年、働き方を考える時に来ています。