あなたは、お給料はどのように受け取っていますか?現金で受け取っていますか?銀行振込ではないでしょうか?1日だけ手伝って、御礼としてもらうときには現金のときもあるでしょうが、お給料として1ヶ月に一度受け取るのであれば、銀行振り込みですよね。
今、新たな給与の受け取り方法としてデジタル払いが解禁されようとしています。あなたは、デジタル払いを利用しますか?
「容子先生、給与のデジタル払いって何でしょうか?会社からデジタル払いをするかもしれないから勉強しておけって言われたんですが・・・」
「勉強しておけって言われましたか」
「はい、そうなんです。デジタル払いって何ですか?銀行振り込みとはちがうんですか?」
「今、お給料は銀行振り込みですか?」
「はい、そうです」
「銀行振り込みも、実は法律の例外ってご存じでした?」
「ええ?法律で銀行振り込みって決まってるんじゃないんですか?」
労働基準法という法律が給与の支払方法について定めています。賃金支払いの5原則といいます。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて
「この二つ目の直接労働者に、というのは、すぐ使える現金を本人に直接支払うということなんです。ということは、銀行振り込みは例外ですね。本人の同意があれば、本人が指定する、本人名義の口座に振り込むことができるんです」
「そうなんですね」
「この例外にさらに一つ付け加わります。それがデジタル払いです。デジタル払いとは、銀行口座を通さず、電子決済の方法によりデジタルマネーで給与を支払うことです」
電子マネーや○○ペイなどのコード決済が広く使われるようになり、銀行口座に入金されたお給料を電子マネーにチャージして買い物などに使っている人も増えてきました。電子マネーなどに直接給与が振り込まれれば、使うときのチャージの手間もなくなります。便利ですよね?
「容子先生、給与のデジタル払いが何かはわかりました、ありがとうございます!あ、でもちょっと気になることがあります」
「なんでしょう?」
「銀行預金は確か1,000万円まで保証してくれるんですよね?でも電子マネーってそういう保証はありました?」
「いい質問ですね。銀行預金は預金保護制度によって、原則元本1,000万円とその利息が保護されます。でも、電子マネーなどを扱うのは銀行ではなく資金移動業者で、預金保護制度は対象外です」
「えっ、じゃあ、保証はないってことですか?」
「まったく保証がないわけではありませんが、銀行のように決まっているわけではありません。ですから、給与のデジタル払いが解禁されるとしても、安全性をある程度保護されているものしか対象にならないと思います。
- 不正引き出しがあれば全額保護される
- 業者が破綻した場合には保証機関が残高の一定額を支払う
などがクリアする電子マネー等だけを給与振り込みに使うことが検討されています」
「それじゃ、全部の電子マネーが対象になるとは限らないんですね」
「そうですね、そうそう、銀行振り込みと同様にデジタル払いも強制ではありません。希望すれば、ということですね」
「それはそうですよね」
「後は、そうですね、電子マネーだと将来の色々な資金への対応ができるかどうかですよね。例えば、老後資金などのためにiDeCoに積立を始めるなら、電子マネーからの積立は今のところできません」
「やっぱり銀行振り込みの方がいいのかなあ?」
「よく考えて選びましょうね」
今日のポイント
- 給与のデジタル払いは、メリットデメリットを考えて選ぶ
- 将来資金を貯めるときには電子マネーよりも銀行の方が今のところ使いやすい