コラムようこせんせいのひとりごとは、2024年5月よりバックアップオフィスにリニューアルします。バックオフィスをバックアップする、というコンセプトで、会社の総務が知っておくべき手続や知識についてお伝えしていきます。発信時間は8:00。出勤前の確認にもおすすめです。
6月のバックオフィスのイベントは、年度更新と住民税更新ですが、今年は住民税更新は7月に持ち越し、代わりに所得税の定額減税です。今回は所得税の定額減税です。
今回お伝えする所得税の定額減税の手続は、今年6月の給与から行う特別な手続です。年末調整での手続は、11月のコラムでお伝えする予定です。
定額減税とは?
2024年に行われる所得税の減税です。
同時に住民税の定額減税も行われますが、こちらは会社での手続は必要ありません。
定額減税の金額は?
給与や賞与をもらっている人で、所得が1,805万円以下の人は30,000円です。一定の配偶者(夫もしくは妻)や一定の子などを扶養している場合は、対象者一人につき30,000円がプラスされます。
住民税の定額減税は一人につき10,000円です。
今回の手続は社員全員が対象?
全員ではありません。基準日(2024年6月1日)現在、扶養控除(異動)申告書を提出している人が対象です。
扶養控除(異動)申告書を提出していない人、5月31日までに退職した人、6月2日より後に入社した人は対象外です。
一定の配偶者とは誰?
扶養控除(異動)申告書のA欄に記載のある配偶者のうち、所得が48万円以下の人、そしてA欄に記載はないけれども戸籍上の配偶者がいて、その配偶者が所得48万円以下の人です。
扶養控除(異動)申告書のA欄に記載がない人に注意しましょう。
一定の子とは誰?
扶養控除(異動)申告書のB欄と16歳未満の欄に記載のある人です。記載がなくても6月1日現在でいるのであれば対象です。
書きもれがないか念のため確認しておきましょう。
定額減税のトータル金額はどう計算する?
例えば、A欄に記載している配偶者が所得48万円以下で、B欄に1名記載、16歳未満の欄に1名記載があれば、本人を合わせて4名が対象となり、定額減税額は30,000円×4名=120,000円です。
記載がなくても6月1日現在でいれば対象です。書きもれがないか確認しましょう。A欄に記載がない人はこちらに記入してもらいましょう。
国税庁ホームページ
定額減税の手続はどのようにする?
対象者の一覧を作りましょう。国税庁のホームページにファイルがありますので活用してもよいでしょう。
国税庁ホームページ
対象者の給与や賞与の計算をするごとに、定額減税のトータル金額を、源泉所得税から直接引いて計算します。
定額減税のトータル金額が120,000円の場合で2パターン例を出します。
パターン1
- 6月15日賞与で源泉所得税が140,000円と計算→140,000-120,000=20,000円を賞与から引いて、定額減税終了
パターン2
- 6月25日給与で源泉所得税が15,000円と計算→定額減税を15,000円行い、給与から引く源泉所得税はなし(0円)。定額減税の枠は120,000-15,000=105,000円残っている。
- 7月10日賞与で源泉所得税が100,000円と計算→定額減税を100,000円行い、賞与から引く源泉税はなし(0円)。定額減税の枠は105,000円-100,000円=5,000円残っている。
- 7月25日給与で源泉所得税が15,000円と計算→15,000-5,000円=10,000円を給与から引いて、定額減税終了
12月の給与まで定額減税をしても枠が残った場合は、最終的には年末調整で計算し、精算します。
毎年年末調整で行う所得税の精算を6月からするというイメージです。社員にも説明をし、一人ずつ丁寧に手続きしていきましょう。