働いている人は会社と労働契約を結んでいます。
例えば、週に何日、何時間、どんな仕事をする、という労働契約をあなたと会社は交わし、その契約によりあなたは仕事をしています。
「容子先生、今月は先月より残業代が少ないんですよ」
「ほ?残業代が少ない?残業しないのはいいことでは?時間もできるし、疲れないし?」
「まあ、そうなんですけどね・・・でも容子先生、残業している時間は同じなんです。それなのに今月は先月より残業代が少ないのはなぜでしょう?」
「残業している時間は同じで、残業代が少ない、ということですか?」
「はい、そうです」
「あ、たぶんそれは、残業した日が勤務日か、休日かのちがいじゃないですか?」
「えっ?残業した日で残業代がちがうんですか?」
「そうなんです、例えばですね。
- 週5日(月~金)に会社に行く。
- 毎日9:00~18:00に働く。(休憩は12:00~13:00)
- 会社の法定休日は日曜日
という働き方の場合、金曜日に残業したか、日曜日に残業したかによって、同じ時間残業してもちがう金額になるんです」
「あっ!確かに!先月は2回日曜日出勤しました!」
「そうでしょ?じゃ、ちょっと計算してみますね。計算しやすいように時給で働いているとしますね。時給は1,000円としましょう」
「はい!」
残業した時間は4時間とすると、
- 金曜日に残業したら、1,000円×4時間×1.25=5,000円
- 日曜日に残業したら、1,000円×4時間×1.35=5,400円
「どこがちがっているかわかりますか?」
「容子先生、最後の1.25と1.35がちがいます」
「正解です!おなじ時間残業しても、残業した日によって残業代はちがうんですね」
「へえー、知りませんでした」
「これを割増賃金といいます。タクシーの深夜割増みたいなものですね」
「タクシーの深夜割増、高いんですよね。あまり使いたくないです」
「確かに。タクシーの深夜割増を使うほど帰りが遅くならない方がいいですよね」
「はい、なるべく遅くならないようにします。あっ、それより容子先生、深夜といえば、深夜に働いても残業代が出るって聞きました。それは1.25増しですか、1.35増しですか?」
「ふふ、深夜は1.5増しです」
「1.5??」
深夜割増は、22時(午後10時)~5時(午前5時)の間に働いた場合に残業代がつきます。
例えば4時間残業(18時~22時)した後に、さらに2時間残業(22時~24時)したとします。残業代はこうなります。
金曜日に残業したら、
- 1,000円×4時間×1.25+1,000円×2時間×1.5=8,000円
日曜日に残業したら、
- 1,000円×4時間×1.35+1,000円×2時間×1.6=8,600円
「容子先生、金曜日に働いたときと日曜日に働いたときとはどうして最後の率はちがうんですか?金曜日は1.25と1.5、日曜日は1.35と1.6ですよね?」
「いい質問です!それは日曜日が法定休日とされているからですね」
「法定休日ってなんですか?」
「法定休日というのは、すべての会社が最低限設定しなければならない会社の休日です。この日は社員はお休み、働いちゃいけない日ですね」
「あれ?容子先生、うちの会社は土日休みですよ?」
「そうそう、そういう会社は多いですよね。あなたの会社は土曜日は会社独自の休日、日曜日は最低限設定しなければならない法定休日、と決めているということなんです。休みということでは同じですが、ちがう点がこの割増賃金の率です」
「あっ、もしかして!」
「そう、土曜日に出勤した場合は、自分では休日出勤のつもりですが、最後の率は1.35じゃなくて1.25です」
「ああ~!そうなんだ!じゃあ日曜日に出勤した方が金額は多いんですね」
「そういうことですね」
「なるほど!ところで容子先生、さっき残業代を時給で計算したじゃないですか、私は月給で働いているんですが、月給の場合はどんな計算をするんですか?」
「それはですね」
「それは?」
「次回で!」
「ええ~!」
会社員の方は月給で働いている人が多いですよね。月給で働いている人の残業代はどんな計算をするのか?次回でお伝えしますね。
今日のポイント
- 同じ時間残業しても 残業する日によって残業代はちがう
- 法定休日に残業した場合にのみ、休日の残業代として計算される