病院に支払った費用が1年間に10万円を超えた場合は、確定申告をすると税金が少なくなる可能性がある、と以前のコラムで書きました。※収入によっては10万円を超えなくてもいい場合もあります。※
これを、医療費控除の制度といいます。確定申告の時期にはよく目にする言葉かもしれませんね。
でも、病院に1年間で10万円を支払うなんて、めったにありませんよね?
風邪気味かな?と思ったら早めに就寝するとか、長引いているならドラッグストアで風邪薬を買って治す。実は私はいつもそうやって治します。病院が好きではないので、なるべく行かないようにしています。あなたもそうでしょうか?
最近のご相談者で、病院へはあまり行かないけれども、頭痛薬や鎮痛剤をよく使う、という方とお話をしました。
「容子先生、昨年は入院と手術をしたので、病院代がたくさんかかったんです。20万円も払ったので、確定申告をしたんですよ。手続はちょっと面倒でしたけど、税金が少し戻ってきたのでよかったかな」
「入院されてたんですか!今は体調いかがですか?」
「今は大丈夫です。ありがとうございます。ところで容子先生」
「はい?何でしょうか?」
「前ちらっと容子先生から聞いたんですけど、頭痛薬のレシートを置いておいた方がいいっておっしゃったじゃないですか、税金が戻ってくるかもしれないからって。だからレシート持ってきましたよ」
「あっ、レシートをわざわざ持ってきてくれたんですか、ありがとうございます」
「これ、何に使うんですか?」
「 セルフメディケーション税制というものに使います。スイッチOTC医薬品を買った金額が年間12,000円を超えたら、医療費控除の代わりに税金を少なくすることができる制度ですね」
「えっと、容子先生、よくわかりませんが・・・スイッチがどうしたんですか?」
「ですよね。実際にレシートを見ながら説明しましょう」
レシートにもよりますが、「このマークのついているものはセルフメディケーション税制対象商品です」などの表示があり、マークがついている商品があれば、セルフメディケーション税制の対象になります。
「容子先生、頭痛薬のレシートです。このマークがなんとか薬品っていうものですか?」
「ええと、そう、これがスイッチOTC医薬品と言われる薬ですね」
「同時にビタミン剤とドリンクも買ったんですけど、これはスイッチなんとかではないんですね」
「ん?あ、そうですね。マークが入っていないということはちがいますね。対象になる成分が決まっているので、このビタミン剤とドリンクには入っていないみたいですね」
「へえ~、薬全部じゃないんですね。容子先生、私、この頭痛薬けっこう買うんです。常備薬にしてます。あと鎮痛剤も」
「鎮痛剤も?じゃあ、このリストで対象になるかどうか見てみましょうか」
2019年7月現在・厚生労働省ホームページより
「あっ!あった!これもセルフなんとか!」
「ありましたか!他にも常備薬にしてるものとか、買うものとかは入っていますか?」
「たまに買うものも入ってます。オー何とかだったんだ・・・」
「OTCスイッチ、ちがう、スイッチOTC医薬品ですね」
「容子先生もまちがうんですね・・・」
「私だってまちがうこともあります・・・ところで、頭痛薬とか鎮痛剤とかって、月どのくらい買います?」
「月にどのくらい買う?どういうことですか?」
「んー、じゃあ、常備薬としていつも1箱置いてる、とかですか?」
「あっ、頭痛薬は2箱置いてます。なくなったら買ってます。鎮痛剤は、1箱置いてます。」
「じゃあ、月に1回は買いにいく感じですか?」
「そうですね、毎月買ってるかも」
「えっと、ちょっと金額調べてみますね・・・月に頭痛薬と鎮痛剤を買ったら1,000円は超えますか、ね?」
「どうなんでしょう。計算してみたことはないです」
「ですよね、まあ、月に1,000円超えるということは、年間では12,000円を超えるかもしれませんね」
「そうなりますよね。でも、入院の10万円よりは安いですけどね。12,000円がどうかしたんですか?」
「スイッチOTC薬品を年間12,000円を超えて買うと、税金が安くなる可能性があるんですよ、それが、セルフメディケーション税制、医療費控除の特別バージョンです」
「えっ、そうだったんですか?」
「そうなんです!でも税金が安くなるには12,000円以外にも条件があるんですね」
条件については詳しくはこちら(国税庁ホームページ)に載っています。まとめてみました。
- その年に健康診断を受けていること
- 医療費控除とは一緒に使えません。
- 会社員の方も、確定申告をする必要があります。
「おおーなるほど!でも容子先生、1年間どのくらい買ったのか12月にならないとわからないですよね」
「そうですよ、だから、頭痛薬のレシートは?」
「あっ、置いておく!」
「そうです!医療費の領収書とマークが入っているレシートは年が明けるまで置いておきましょうね」
「はい、さっそく保管しておきます!」
医療費控除もセルフメディケーション税制も、領収書は必ず置いておきましょう。
領収書を提出する必要はありません(2019年現在)が、領収書がないと、合計額がわかりませんし、もし確定申告をした場合には、領収書は保管しておく必要があります。
病院へ行ったときの領収書、マークが入っているレシートは、とりあえず12月末日までは保管しておきましょう。
今日のポイント
- 病院の領収書とマーク入りのお薬のレシートは12月末まで保管する
- 病院の領収書の合計が10万円を超えていれば医療費控除、マーク入りのお薬のレシートの合計が12,000円を超えていればセルフメディケーション税制
- 確定申告は必要です