働く会社が同じでも、立場が社員から業務委託に変われば、あなたはフリーランスとなります。以前のコラムで書きました。
会社員であれば使える制度で、フリーランスになると使えなくなる制度があります。今は使っていない制度かもしれませんが、使えなくなったときこそ、使いたいのに!と思うこともあるかもしれません。
今回は、フリーランスになると使えなくなる制度を4つに分けてお伝えしましょう。
1つ目は万一のときの備え
- 産前産後や出産、介護のときの休暇・・・とれないと思っている人もいるかもしれませんが、これは立派な権利です。社会保険や雇用保険からお金ももらえます。
- 労働災害(労災)の給付・・・仕事中や通勤中に仕事や通勤が原因でケガをしたり病気になったときは、労働災害補償保険(労災保険)を使って治療を受けたり、休んだときにはお金をもらえます。
- 失業手当・・・会社員のときに一定期間雇用保険に入っていれば、会社を退職して次の仕事先を探すときにお金がもらえます。
- 傷病手当金・出産手当金・・・健康保険に加入していれば、仕事以外でケガや病気をしたときや出産したときにお金がもらえます。
- 休業手当・・・会社側の理由で会社が休みになり、仕事をしなかった場合に会社からもらえるお金です。ただしお給料よりは少なくなります。
万一のときの備え、とは、お給料がもらえなくなったときのセーフティーネットですね。このセーフティーネットがなくなるとすれば、代わりに自分でお金を貯めておく必要がありますね。
2つ目は将来の備え
- 老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金・・・社会保険に加入している場合は、厚生年金保険には加入しています。フリーランスになると、厚生年金保険ではなく国民年金になりますので、もらえる金額が減ります。
- 退職金・・・制度がない会社もありますが、退職金制度がある会社だと、会社を退職した後にお金が入りますので、急に収入が0円になるわけではありませんね。
年金が少なくなる分を補うためには自分で貯めておいたり、退職金は自分で作っていきましょう。
3つ目は働いた時間でもらえるお金
- 残業代・・・会社員は会社と雇用契約を結んで働く時間が決まっていますし、労働基準法という法律で働く限度が決まっています。どうしても決まった時間内に仕事ができなかった場合は、オーバー分としてもらえるのが残業代です。
フリーランスは、働く時間ではなく、成果に対してお金をもらうので、残業代は出ません。働き方も考える必要がありますね。
4つ目は手続
- 社会保険や雇用保険、税金の支払・・・お給料から引かれて、会社がまとめて支払います。
- 年末調整・・・会社員であれば、毎年1回、会社が所得税の計算をして精算の手続もします。住民税の手続きも同時にします。
フリーランスなら、所得税と住民税の確定申告は必須です。自分で税金の計算をして、税金を支払います。社会保険や税金の支払も自分がします。
会社員の今は会社にしてもらうことが当たり前のことや、もらって当たり前のお金などがもらえなくなります。自分で手続をすると時間もとられますし、もらえなくなる分のお金も必要です。フリーランスになる前に、制度についてあらかじめ調べてみて、自分でしなければならないことを知っておくとあわてずにすむでしょう。
今日のポイント
- 会社員で使えていた制度がフリーランスになると使えなくなることもある
- 手続は慣れていないと時間がかかるので、しなければならないことを知っておく