8月は、働く人の法律をお伝えしていきましょう。第1回目は、クビに関する法律でした。第2回目は、働く時間に関する法律の1回目でした。第3回目の今回は、
働く時間に関する法律の2回目
です。 前回で、働く時間は
- 1日8時間
- 1週間40時間
であり、超えることは法律違反になるとお伝えしました。ただ、条件があれば時間を延長して働くことができます。
条件の1つ目
ある協定を交わしておく
協定とは、約束のことです。最低限の決め事である法律で決めている時間はオーバーしても、約束を交わしていれば時間をオーバーして働いてもよいのです。
労働基準法36条には、このように書いてあります。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
労働基準法36条
ただし、オーバーの時間は無制限ではありません。
- 1ヶ月では45時間以内
- 1年では360時間以内
です。
どうしてもこれでは無理!というときには、別の特別な約束(特別条項といいます)を交わすこともできますが、特別な約束は、期限付きでなくてはいけません。
例えば、特別な約束なしで、
- 朝30分早出
- 夕方2時間残業
で、結果1ヶ月66時間残業した場合は?
1ヶ月45時間をオーバーしているのでNG。
例えば、特別な約束があり、
- 3ヶ月間だけ
- 1ヶ月80時間超
としていたとして、
- 朝1時間早出
- 夕方3時間残業
- 85時間残業した月が4ヶ月続けば?
3ヶ月の約束をオーバーしているのでNG。
協定、つまり約束の内容によって、できる残業時間も変わるんですね。
条件の2つ目
超えた時間には、割り増しのお給料を払わなくてはいけません。
労働基準法37条には、このように書いてあります。
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
労働基準法37条
残業の時間、残業の日によって、25%~60%の割合でいつものお給料よりも割り増しで払われているかチェックしましょう。
今日のポイント
- 働く時間は1日8時間、1週間40時間
- 協定で延長させることはできるが、延長した時間などに割り増しで給料の支払いが必要